JR東日本の就職者の出身大学を職種ごとに調査! 学歴フィルターも

JR東日本のプロフェッショナル職

JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)の新卒採用における出身大学の事情について調査。大学別就職者数から傾向を読み解く。

職種(総合職・エリア職)によってまったく状況が異なる。

難関大学に所属する学生だけが内定をもらえる流れのある「学歴フィルター」は総合職で見られる。一方のエリア職では、現業部門(駅・乗務員フィールド、技術フィールド)を中心に大学のレベルは関係ない。

どちらかというと大学の所在地またはその人の居住地に関係する傾向。


大学別就職者数

まずは大学別就職者数。

人気雑誌「サンデー毎日2019.8.18-25号」に基づく情報では、JR本州3社の出身大学で多い学校をまとめると以下のような表になる。

国公立大学の大学別就職者数

JR各社の国公立大学の大学別就職者数
大学名 JR東日本 JR東海 JR西日本 合計
東京大学 16 18 4 38
京都大学 5 12 17 34
大阪大学 6 7 15 28
東北大学 13 6 4 23
神戸大学 1 4 15 20
名古屋大学 2 10 3 15
九州大学 1 7 7 15
東京工業大学 6 6 3 15
千葉大学 10 2 2 14
北海道大学 6 3 3 12
筑波大学 8 1 3 12
一橋大学 4 3 2 9
横浜国立大学 5 1 2 8

いずれも総合職とエリア職(現業職含む)を合計した人数。

JR東日本では東大・東北大・千葉大といった首都圏または東北地方にある大学からの採用者が目立つ。

国公立大学の場合は、総合職またはエリア職の事務系統に就職する人達が多い傾向。特に旧帝大クラスになるといわゆるホワイトカラーの職種にて応募して内定獲得へと至る流れ。

総合職はこのように国公立大学でも旧帝大レベルが主流のため「学歴フィルター」があると判断。事務系・技術系あるが、どちらも同じ。

なお、旧帝大ではない一橋大・東工大・千葉大・筑波大・横浜国立大も総合職または事務系のエリア職の割合が高い。

現業職(旧プロフェッショナル職)は圧倒的に私立大学(早慶以外)が主流で、国公立大学出身者は明らかに割合的に少ない。

私立大学の大学別就職者数

JR各社の私立大学の大学別就職者数
大学名 JR東日本 JR東海 JR西日本 合計
日本大学 65 25 0 90
芝浦工業大学 29 24 1 54
早稲田大学 24 15 8 47
東洋大学 36 7 1 44
名城大学 5 28 5 38
東海大学 26 10 1 37
中央大学 31 4 1 36
同志社大学 4 4 23 31
法政大学 19 8 3 30
立命館大学 5 12 13 30
近畿大学 5 12 11 28
慶應義塾大学 13 10 4 27
明治大学 25 2 0 27
東京理科大学 17 6 4 27
関西大学 3 6 17 26
金沢工業大学 2 12 8 22
東京都市大学 11 8 0 19
龍谷大学 1 7 9 17
東京電機大学 11 5 0 16
関西学院大学 2 5 7 14
専修大学 11 2 1 14
中京大学 3 10 1 14
千葉工業大学 12 1 0 13
神奈川大学 6 7 0 13
愛知学院大学 0 13 0 13
青山学院大学 9 2 0 11
工学院大学 4 7 0 11
愛知大学 1 10 0 11
大阪工業大学 1 6 4 11
駒澤大学 9 0 1 10
甲南大学 1 3 6 10
上智大学 6 1 2 9
明治学院大学 9 0 0 9
立教大学 8 0 0 8
國學院大学 6 1 1 8
武蔵大学 8 0 0 8
成蹊大学 5 3 0 8

いずれも総合職とエリア職(現業職含む)を合計した人数。

私立大学に絞ってもJR東日本では、首都圏にある大学からの採用者が目立つ。

私立大学の場合は、大学の具体的なレベル(偏差値)によって職種が分かれる。

早稲田大・慶応義塾大・上智大は総合職またはエリア職の事務系統に就職する人達が主流。

MARCHクラス、東京理科大はさらに現業部門への就職も多くなり、それぞれで半々。

日東駒専(日本大・東洋大・駒沢大・専修大)は圧倒的にエリア職となる。

総合職は私立大学では早慶上智レベルが主流のため、やはり「学歴フィルター」があると判断。事務系・技術系あるが、どちらも同じ。

一方のエリア職は大学の偏差値の違いによる採用実績校の特色が特になく、学歴フィルターがないと判断。

職種ごとの採用大学の傾向

次に各職種ごとの採用大学の傾向について。

特に書類選考の段階で広く使われている手法が学歴フィルターである。

大手インフラ企業では大学名だけで面接まで進ませるか、その場で不採用にするか決める方法となっているケースが多いのが現状。

総合職

本社勤務の総合職の採用

JR東日本の新卒採用の職種の中でも、総合職の場合は難関大学出身の人が内定者の多数派を占めている。転勤や異動が多い一方、経営幹部候補ということで出世が早い職種。

年収の水準はかなり高く、40代で1,000万円以上になる人も少なくない。

(詳しくは『JR東日本の平均年収は約700万円! 職種・年齢ごとでも算出』にて)

東大や早稲田大、慶應大といった国立大学の中でも旧帝大に分類される学校や伝統ある最難関私立大学の学生が多く内定を獲得している一方、日東駒専以下の内定者はかなり少数だ。

学歴フィルターはあるのではないかと感じるのが印象的。

他の鉄道会社や大手インフラ企業と同じように、JR東日本においても総合職については学閥のような傾向がみられる。

JR東日本といえば首都圏においては超一流企業であるのは言うまでもない。

誰もが知っている会社ということで、膨大な数の大学生および院生が応募する。ESを提出する件数はかなり大きなものとなるのは確かだろう。

そうした中でふるいにかけるためには大学名で仕分けるしか方法がないという意見も少なくない。

結果として、中堅以下の大学の学生は落とされやすいのが現実なのだ。内定者の多くが高学歴で難しい学校出身の人ばかりな理由はここになるのだろう。

事務系総合職

事務系総合職

  • 総務・経営企画・財務・人事
  • Suica事業
  • 列車運行
  • 国際事業
  • 鉄道営業・観光開発
  • 生活サービス
  • IT事務

→いずれも難関大学からの採用が中心

上記は事務系総合職の業務分野。

就職者の傾向は、文系の学部学科の出身者かつ旧帝大または早慶上智クラスの大学出身者が中心。

理系でも事務系総合職に就職する人はいるものの、割合的にはかなり少ない。

技術系総合職

技術系総合職

  • 列車制御システム、エネルギー、情報通信(電気系)
  • 輸送、車両、機械(機械系)
  • 線路、土木、建設(土木系)
  • 建築
  • IT(情報系)

→いずれも難関大学からの採用が中心

上記は技術系総合職の業務分野。

就職者の傾向は、理系の学部学科の出身者かつ旧帝大または早慶上智クラスの大学出身者が中心。

理系の中でも工学部、理学部(物理系)、情報学部がほとんど。生物系や農学系は鉄道会社では取り扱う分野が皆無または極小のためほとんどいない。

文系で技術系総合職に就職するのはほぼ不可能なため、理系限定の職種と考えてよい。

エリア職

エリア職の採用

一方のエリア職の採用においては、学歴フィルターと呼ばれる制度はないと考えてよい。こちらは現業職と呼ばれる職種である。

>>倍率はいくつ?JR東日本のプロフェッショナル採用!

細かく分けると、駅員や車両・運転士となる駅・乗務員(運輸系)と保線や設備の管理を行う技術系、事務の3種類のコースがある。

鉄道事業の第一線にて活躍するのが仕事が多いことため、募集人数もここ最近は1,000人以上で推移。

応募者数が多いのは間違いないが、採用人数もかなり多い。そうした特徴から、総合職とは違ってあわゆる大学や高校、専門学校から多くの学生を採用している。

自分が所属する学校名で選考の合否が決まることはない。採用不採用は面接や適性検査にて決まると考えられる。

面接回数も少ないため、求められている内容もハイレベルでは決してない。

「誰にでも公平にチャンスがある」

乞う表現できるのがJR東日本のエリア職の採用といえるだろう。中堅大学であっても、偏差値が低いFランク大学であっても問題ないといえる。

事務系エリア職

事務系エリア職

  • 鉄道営業
  • 観光開発
  • 生活サービス
  • IT事務

事務系エリア職オフィスワークが多い仕事内容で駅・乗務員とは違って現場は少ない。

総合職とは違って女性社員の割合が多い。

出身大学に関しては、総合職のように難関大学に限った採用というわけではなく、様々な偏差値の大学からの採用。

勤務地が限定されていることで転居を伴う転勤が基本的にはないため、旧帝大・早慶上智クラスから事務系のエリア職へ応募する人もいる。

学歴主義でも中堅以下の学力中心というわけでもない。「中立」という表現が妥当だろう。

駅・乗務員

駅員・車掌・運転士はここに該当する。

様々な偏差値の大学からの採用が行われているため、総合職では敬遠されてしまう中堅レベルの大学の出身者が主流。

学歴フィルターはまず見られない。

大学別ではMARCHから日東駒専の各大学が目立つものの、これは学生数そのものは多いことが影響している。

あまり有名ではない学校に所属するからと言って不利になることはまずない。

技術系エリア職

技術系エリア職は総合職の方と分野そのものは似ているが、仕事内容はやや異なる。

総合職は設計・開発が多いのに対して、エリア職は主に現場に近いところに当たる。

保線などの土木工事、車両のメンテナンスなどが一般的にイメージが付きやすいが、これに該当するのは技術職。

「駅・乗務員」と同じく鉄道運行の第一線で働く例が多い。

様々な偏差値の大学からの採用が行われているため、総合職では敬遠されてしまう中堅レベルの大学の出身者が主流。

あまり有名ではない学校に所属するからと言って、それが不採用に至りやすいことはないと捉えてよい。

まとめ:学歴フィルター

職種 学歴フィルターの有無 補足
総合職-事務系(文系が主流) あり 難関大学に偏る
総合職-技術系(理系が対象) あり 難関大学に偏る
エリア職-事務(文系が主流) なし 大学名は関係なし
エリア職-駅・乗務員(文系が主流) なし 大学名は関係なし
エリア職-技術系(理系が対象) なし 大学名は関係なし
※新卒採用は総合職とエリア職に分かれて採用選考が行われる

JR東日本の職種ごとの新卒採用の学歴フィルターの事情はこのような形になる。

就職難易度と学歴フィルターの有無は比例する。

学歴社会の背景

JRは1987年に国鉄が民営化されたことで発足した民間企業。

その一方で国鉄時代の名残も見られ、それが就職での学歴重視の流れである。

国鉄時代は採用区分が2つに分かれていた。「本社採用」と「支社採用」それぞれ別々で選考が行われていた。

本社採用は今の総合職に当たる。「国家公務員一種」と非常によく似た傾向で、いわゆる「キャリア組」に相当する。

支社採用は今のエリア職(旧プロフェッショナル職)に当たる。「現場組」とも表現できる。

国家公務員一種は今でも難関大学出身の人たちを好む傾向が見られる。

JR東日本も元々国営企業だったことが、このような総合職にて学歴フィルターが残っている背景と結論付けられる。

なお、ここでの学歴とは、高卒とか大卒という括りではなく、大学名という括り。(『どこからが「高学歴」に該当する!? 具体的な基準を分析』にて)

難関大学と偏差値が高くない中堅大学では天と地の差がある。


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