@chablis777
シャブリ

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(八郎)この皿な 作ったんは今の武志の年とおんなじぐらいや。
(武志)そうなん?そや。結婚する前やろ?
好きな子がおってなあ。お母ちゃんや。
大好きな子がおってなあ。お母ちゃんやろ。
話 遮らんといて。合いの手入れてるんや 話しやすいやろ。
どこがや 話しにくうてしゃあないわ。
お母ちゃんのこと思て作ったんや?
笑顔が こういう色 引き出したんや。
笑顔ぉ…ちょっ 立ち上がってええ? 体操するわ。
何で 何で?気恥ずかしいわ! スクワットする。
何か 言うてる僕も恥ずかしなってきたわちょっと一緒にやるわ。 うん。恥ずかしいって言うから恥ずかしなんねやろ…。
(住田)遅なりました連れてきましたでえ。
あれ お母さんは?こんにちは。 母屋です。
ああ そうか… ほな 入らしてもらおうか。・はい。
(稲葉)失礼いたします。(武志)こんにちは。
(八郎)こんにちは。あっ…。(畑山)あっ…。
 回想 (畑山)失礼します。(稲葉)失礼します!
(喜美子)付き添いは1人でええ言うたやんな?
行きます。行きます!
あっ!失礼します!
失礼します。あの… 先生 その節は あの…大変… あの ご無沙汰いたして…。
(2人)申し訳ございませんでした!
いや… あ…。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も涙に負けるもんか」
どうか お許し下さい。お許し下さい!
だから いや もう ほんまにええですよ。あの こちら 梅でございます。
何…?梅でございます。梅?はい。
ああ はい。お召し上がり下さい。いや だから…。
あっ! その節は…!申し訳ございませんでした!
申し訳ありませんでした!
後援会の知り合いから頼まれましてん。
かわはら工房 頭 下げに行くん連れてったってくれへんかいうて…。
えらい昔のことやからどうやろう思たんですけど…。
(畑山)ず~っと悔やんでました。
弟子 辞めさせられたからいうて泥棒みたいなまねしてしもうたこと…。
まねやない 泥棒や。お前が 入ろう言うたからやろ。
釉薬の調合 知りたい言うたんそっちやろ。
盗もう言うたんは そっちやろ。やめえ やめえ。
まだ 仲悪いんか。(住田)2人で工房持ってはるそうでっせ。
えっ!和歌山の方に…まあ そこに至るまではいろいろありましたけど。
言い合いしながらもなんとか2人でやってます。
陶芸 続けてるんや。はい。はい。
まあ 奇遇っちゅうかたまたま八郎さんもおられて頭 下げることできて よかったやん。はい。はい。
ほんまに… 申し訳ありませんでした。申し訳ありませんでした!
ええよ もう…。 なあ?
ほんで わざわざ和歌山から?あっ 土を買いに来ました。
おっ 信楽の土。はい。
土は やっぱり 信楽のがいいんで。ほんで… なっ。
あっ… う~ん… な… う~ん…。うん?
言えや。お前が。
お前が言えや。お前が言え…!何やのん。
頭 下げに来ただけやないんか?何やの 言うて。
実は 俺ら 穴窯をやってます。
えっ!(畑山)造ったんです。和歌山の方で 今 やってるんです。へえ~。
前に 信楽に土を買いに来た時にここの穴窯の話を聞いて…。うん。
2年くらい前です。
そういう焼き方もあるんや。 ほんなら俺らもやってみようか思て。 なっ?
2人で半年かけて造りました。お~ すごいやん。
いろいろ調べて なっ。はい。おもろいやろ。
いや~ まだ それは…。まだ難しいか。
まだ うまく焼けません。
穴窯の構造に問題があるんちゃうか思て…ほんで… ほんで 見せて頂きたいんです。
喜美子さんの… 川原喜美子先生の穴窯を。見せて下さい。
あと 焼き方も教えて下さい。どんだけ薪 使てます?
どれだけ たいてるん?(稲葉)3日か4日です。あと 温度は どんな感じでやってますか教えて下さい。
(畑山)教えて下さい。
うちは 2週間たいてるわ。2週間!そんなに!
よっしゃあ ほな 穴窯 見せたろ。
おいで。あ…!ちょ… お母ちゃん!
うん?何 言うてんねん。
ほんなん よう聞きますね?教えられるもんちゃいますよ。
なあ 釉薬の調合 教えるようなもんやろ。言うたら 企業秘密ちゃうんか。
そんなことないで。そんなことあるて。
穴窯は もうそんな珍しいもんやないさかいなあ。お母さんが始めはった頃は そら誰もやらんよって 大きな注目 浴びた。けど そっから何年たった?今は よそでもやってる。
信楽でも穴窯やってる作家さん出てきてるで。
知ってます。 ほやけど…。女性でやってはるんは まだ珍しいけどな。
珍しい 珍しない関係ないです。そういう話やない。
かまへんねよ。手の内 見せてええんか。
ええんよ。 はい 行くで。
ありがとうございます。お母ちゃん!
(戸の開閉音)
2週間 今もたき続けてるんか。
年に4回。 毎回 火事寸前や。ハハッ 今も そうなんや。
お母ちゃん独自のやり方や。せやな。
何回も失敗してようやくたどりついた やり方や。
よう分かってるんやな 穴窯のこと。
お母ちゃんの穴窯のことはな子どもの頃から見てきた。
なのに… あんな簡単に人に教えるやなんて 人がよすぎるわ。
あかん。 やっぱ 止めてくる。
武志。あんなん まねされたらかなわへんやん!
お母ちゃんは そんなもんやないで。
もともと独自の造形力があった。
それに 自然のまま焼き上げる穴窯いう やり方がうまいこと はまったんや。
ほんで ええ作品 生み出してるやろ。
強い覚悟と 天賦の才能でな。
まねしても おんなじもんは出来へん。
ほかの誰にも まねできへんもん作ってる。
心配すな。
お~。
うわっ こんなに灰かぶってるんですか。傾斜も結構きつめですね。
15度に設計してて 引きを強うしてんねん。
ほやけどな 煙道にレンガ置いて口を狭くした。 見てみ。
(稲葉)おっ。(畑山)あっ ほんまや。
♪~
なあ お母ちゃん。何?
何で 別れたん?
お父ちゃんと別れたん 何でや。
お父ちゃん 何してんねやろな呼んできたら?
俺な お金のことでもめてるんや思てた。
穴窯やる やらんでもめてたん知ってたしお金かかるしな。 借金してたんのやろ。
おばあちゃんが言うてた。
そういうことでもめてるんか思てたんや。
ほやから お母ちゃんの作品が売れてお金が入ってきたら戻ってくる思てたんや。ハハッ 単純やな。 子どもやったし…。
そっから もうよう分からんくなってしもうてな。
なあ 俺 覚えてんで。お母ちゃんが言うてたこと。
 回想 お母ちゃんが 武志のことどう思てるか知ってるやんな?
(武志)大好きや。そや 大好きや。
お父ちゃんのことも大好きやで。そうなん?
そや。 そうやで?
よかった~!
よかった~! よかった よかった~!
さっきな お父ちゃん。 お母ちゃんのことよ~う分かってるようなこと言うてた。
強い覚悟と 天賦の才能で ほかの誰にもまねできひんもん作ってるて。
なあ… お父ちゃんお母ちゃんのこと 今でも…。
ちゃうか…。
陶芸もな 今は やってへん言うてた。
何でやろ…。
あっ!
あ… 信作叔父さん呼ぼ。えっ?
百合子叔母ちゃんでもええわ。何でやの 急に。
3人で ごはんなんて 気まずいやんか。気まずいことないで?
気まずいやろ。俺かて いろいろ考えてしまうしそんなん あかんわ。電話しよ。 来てくれるかな…。
お父ちゃん呼んでくるから。みんなで楽しく ごはん食べようや。 なっ。
♪~
おう。えっ…。
おう。えっ…?
ハチさん 呼んでええ?えっ?
喜美子 呼んで。はっ?
喜美子ぉ 呼べ。
あの…。ええやん もう 喜美子 呼んで。
いや… あっ えっ あ… あの…。もう普通にいこうや。
普通?ハチさん。 喜美子。 なっ?
普通にいこう。何やねん いきなり。
せやからな 何や こう… ここ? ここ?よどんでる感じあるやん。
よどんでる?よどんでるいうか う~ん…重々しい。重々しい…。
ちゃうか ちゃうな。こう… これ な… 何て言う?
え~ ほやから…。意識…。えっ?
意識し合うてる。
そや。 意識し合うてるんやな。えっ うちのこと意識してる?
そら。意識してるん?
いや まあ してへん方がおかしいやろ。うちもしてる。
おおっ してるやん。ほな なくせ。えっ。
なっ? 意識し合うてる感じはい なくして。 はい はい はい はい。
いやいや 「はい はい はい」いうてそんな いきなり…ちょちょちょ… ちょっと待ってえや。あのな 座る? もう座りましょう。
ええ。ちょ… もう ほな もう…えっ 何を そんな いきなり…。
怒ってはるんですか?もう 堅苦しいのやめようや。
そら いろいろ思うこともあるやろうちかてあるわ。 いや あるか? ないわ。
もう分からん。 もう分からんけどもう何年も前のことやで?
いつまでも引きずる年でもないやん。周りに気ぃ遣わせてやで?
この前の… この前の あれかて そうや。照子に信作に ほんで 小池ちゃんもなもう うちらに気ぃ遣てたん分かったやろ?
分かった…。そんなん悪いなあ思わんかった?
思た…。武志かて そうやで。
気まずいんちゃうんかって聞いてきよった。
そうなん?ほやからな 普通にしよ。
ふ… ほな 普通て どういうのいう。
せやから 何回も言うてるやんハチさん。 喜美子やん。
名前?ハチさんは そっからやろ?
そっから変えていかんと。あ~。
「あ~」やないで? 言うてみ。「喜美子」言うてみ。
喜美子。
ちゃうなあ。もう分からへん…。
何もないねん もう何もないねん。
さっぱりとな? お互い さばさばいこうやなっ 分かる?
うち できるで。もう 手ぇ触っても 何ともない。
ほら こんなんもできるで ほらほら。
お~ ハチさん 久しぶり おうおうおうおうおうおう…。


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