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【社会】

障害ある生徒に暴行容疑 特別支援校教諭、逮捕 横浜、昨年11月

 横浜市の特別支援学校で昨年十一月、障害がある生徒に暴行してけがをさせたとして、神奈川県警が今月五日、傷害の疑いで、教諭の男を逮捕していたことが分かった。市教育委員会や学校は「被害者などに配慮し、現時点では詳しく話せない」と公表していないが、取材に対し事件があったことは認めた。懲戒処分を検討する方針。

 関係者によると、三十代の教諭は昨年十一月十九日、トイレにいた十代の生徒に近づいた際、ふいに生徒の手が当たったことに激高。生徒の頭を車いすにぶつけるなどの暴行を加え、頭などに二週間のけがをさせた。

 生徒は体が不自由で、意思に反して手が動いてしまうことがあった。暴行時、「一人じゃ何もできないくせに調子に乗るな」と口にしていたという。

 生徒は「初めてではない」と話しており、日常的な暴力があった疑いもある。学校は逮捕前に事案を把握し、教諭を休ませていたが、逮捕後に初めて保護者説明会を開いて謝罪した。

 県警も被害者保護を理由に詳細を明らかにしていない。

◆市教委、事実非公表 「被害者に配慮」再発懸念の声

 事件を公表していないことについて、市教委は被害者が特定されないための配慮と強調する。しかし識者や教育関係者はこの学校に限らず、現場には障害者への差別意識や不祥事を隠そうとする体質が少なからずあると指摘。虐待とも言える事態が繰り返される温床になっていると危機感を募らせる。

 名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「被害を受けた児童や生徒側が、自身や家族への影響を恐れ事案の公表を望まないことはよくある」と明かす。ただ「教諭への処罰が緩くなり、再発防止につながらない可能性がある」と、安易な非公表には懸念を示す。

 教諭に相模原殺傷事件の植松聖(さとし)被告(30)と似た差別意識を感じるという日本障害者協議会の藤井克徳代表は「プライバシー保護を理由とした非公表は問題の上塗りだ。公表し、第三者を交えた徹底した検証が必要」と訴える。

 横浜市内の特別支援学校で働く男性は「同業者として、教諭の行為は許せない」と憤った。

 

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