羽柴秀吉によって、戦国時代の地下牢に囚われた私たち
「アメ、あの小男は誰だ」
私たち三人は横山城にある天然に作られた地下牢に閉じ込められていた。
竹中半兵衛のもとへ、羽柴秀吉の謀反について確認しに行って、そこに、なぜか秀吉本人がいたんだ。
驚いている間も、説明する間もなく、うす汚い泥でできたような牢にぶち込まれた。
暑いし、雨が降ってきて、泥水が牢内の壁から染み出してくるし、この世界の不潔さには慣れたと思っていたけど、さらに1段階上があるとは思わなかった。
「これからどうなるんだ、アメ」
「それは私が知りたいです」
オババと私、それから昭和初期から過去へきた弥助と、未来人3人組は羽柴秀吉が砦とする横山城の牢にいて。これ、もう、信じられない状況で、これからどうしていいか、全くわからない。
弥助は隅に座ったまま無言だったし・・・
と、その時、黒く汚れた壁で、なにかが動いた。
なに?
なんなの?
ふいに、鳥肌がたった。
げ、シャカシャカって、壁伝いにうごめている。
こ、これ・・・
だめだ、一番、ダメなやつだ。
ものすごくでかいゲジゲジが走ってる!
いや、ムカデ?
なんかわからんけど、恐怖しかない!
これだけは生理的に受け付けないんだ。
でかいんだ!!! 皆さま!
とてつもなく、でかいんだ!
たぶん、30センチはある。細い足も長くて多い!
シャカシャカ、走っていく。
あのね、私、ゲジゲジって、許容範囲は3センチ以内だから。それも、氷殺ジェット、手に持ってるときだけだから。それ以外は認めんから。
で、これは・・・
これは、もう許容範囲をはるかに超え蛇の領域。異生物。怪獣!
ムリ、ムリ!
思わず立ち上がって悲鳴をあげて牢の戸口を叩いた。
そんな私にオババ、両手を組み静かにいった。
「秀吉って、あの羽柴秀吉なのか」
「た、たぶん。でも、ゲジゲジが」
「弥助。秀吉は謀反で明智に囚われたと。それは違うのか」
弥助は頭をボリボリと掻いている。
「状況を整理するぞ、アメ」
オババ、そんな冷静な口調で話してる場合じゃない。
危機は現場で起きている!
「つまり、謀反で囚われた羽柴秀吉は、竹中平蔵の屋敷に忍んでいるって。それは、明智の元から逃げたのか。あるいは、もともと囚われていなかったのか」
「だから、今はでかいゲジゲジが!」
うわ! う〜〜〜わ〜〜〜!
壁から落ちた。落ちたんだよ。こっち見てる。見てるから。目ないはずだけど、悪意がいっぱいの口と目があっちまった。
「オババ!」
「どうした」
「ゲジゲジと目があっています」
総毛立った。
「そうか! それで、あれが秀吉なら、これはどういう状況だ」
「だから、状況は、でかいゲジゲジだってば」
「ゲジゲジのほうは丁重に帰ってもらえ」
「丁重にって!」
「だから、お引き取り願え」
「そんな気持ちは、ゲジゲジの方には全くありません!」
「弥助。これは秀吉の計略か」
「おそらくは」
「だから、ゲジゲジに計略なんて、ないから!」
そう言った瞬間。
ゲジゲジ、全速力でこっちに向かってきた!
と、いきなりゲジゲジのいた空間にワラジが飛び込んだ。
バン!
泥を散らし、ワラジがそこに。
おそるおそる顔を上げると弥助がうなづいた。
神か、あなたは神か。
でも、そのワラジ、できればそのままで、その下の存在を目にしたくないから。ぜったいしたくないから。
「羽柴が謀反とは嘘だったのか」
オババ、今、そこじゃない。
遠い未来の話より、今のゲジゲジ。
うわ〜〜、弥助、足をあげた。そして、手でゲジゲジ、持った!
もう、私、泡吹いて倒れそう。
そんな30センチもある、足がいっぱいの、そんなエイリアンみたいなもの、手で持つって。あ、あ、あ、あんたは神じゃない。
刺されるよ!
痛いよ!!
って、え?
ゲジゲジが飛んでる!
あ! これは、なに。
鳥だ!
飛行機だ!
いや、スーパーゲジゲジマンだ。
弥助・・・
牢の向こうにゲジゲジ投げてた。
「アメ!」
「オババ」
「どうしたんだ。真っ青だぞ、顔が」
「オババさま、弥助さま。長い間、お世話になりました」
「ど、どうした」
「私、しばらく、たぶん、気を失うと思います」
それから先の記憶がしばらく途切れた。
・・・・・つづく
これまでの物語は下記から。
最高に面白い脱走エンタメドラマ
映画界でもドラマ界でも、牢からの脱走というテーマで名作は多いと思います。古くは『大脱走』や『パピヨン』など、ふっと思い浮かんできます。
今回はHULUやNetflixなどで見れる、大きな意味で脱走をテーマにしたアメリッシュおすすめのドラマ3点をご紹介します。
ハマります。
徹夜です。
そんなドラマです。
3位 ホームランド
2011年公開。エミー賞・ゴールデングローブ賞受賞作品。
現在シーズン7まで公開。
主演:クレア・ディンズ
イラクの戦争捕虜として囚われていたアメリカ海兵隊員ブロディが、アジトから救出されます。米国は戦争の英雄をとして彼を迎えます。
そんな中、双極性障害を患うが優秀なCIA局員キャリーの元に情報が届きます。テロリストとして育てられて男が米国に戻るという極秘情報です。
果たして、脱走し救出されたブロディはアメリカの英雄なのかテロリストなのか。手に汗握る展開で、ともかくハマります。第1話から徹夜覚悟のドラマです。
2位 プリズン・ブレイク
主演:ウェントワース・ミラー(弟マイケル役)
ドミニク・パーセル(兄役)
『プリズン・ブレイク』を見ずして脱出ドラマを語るなかれ。
2005年に放映され、大ブレイクしました。
シリーズは2010年までに4シーズン。その後、2009年で『ファイナル・ブレイク』で完結しましたが、あまりの人気に、2017年、死んだ主人公を生き返らせて新たなドラマが公開されました。
シーズン1は、犯してない罪で死刑判決をうけた兄を救うため、元建築技師で天才、IQ200の弟が罪を犯して刑務所に入り、兄を脱獄させるというドラマです。
弟マイケル・スコフィールドの性格設定がいいのです。
マイケルは「潜在制止の機能障害」という先天性の脳の病気。自分を犠牲にして他人のために尽くしてしまう性格だといいます。
こんな性格設定ってアリなの?って思わずツッコミいれてましたが。
兄のため全身に刺青をいれ刑務所の見取り図を描く、なんとも奇抜なアイディアで脱獄を計ります。
弟マイケルの気持ちのよい天才ぶり、どんな難問に出くわしても、結果としてその頭脳で解決していく爽快さと、お約束のどんでん返しが人気の秘密でしょうか。
弟役ウェントワース・ミラーと兄役ドミニク・パーセルは、2014年公開のドラマ『THE FLASH(フラッシュ)』、2016年公開『レジェンド・オブ・トゥモロー』でも兄弟のような相棒役で出演しています。
さて、マイケルもいいのですが、シーズン2に出演するアレクサンダー・マホーンも見逃せない魅力です。
彼はFBI捜査官として出演。マイケルとの知的勝負が秀逸です。アレクサンダー・マホーン、ほんと素敵です。そして、知力を尽くした戦い、とても見応えがありました。
1位 『ハンドメイズテイル/侍女の物語』
2018年日本公開。
これほどの問題作ってあるでしょうか。
エミー賞の13部門ノミネート。ネット配信のオリジナル作品が作品賞を受賞するのは初めてという快挙を達成しました。
作品賞や主演女優賞を始め、8部門での受賞など各賞を総なめにした衝撃作。見始めるとやめられない、絶対にハマります。
舞台は環境汚染や性感染症の拡大により、出生率が劇的に低下した近未来。
クーデターが起き、アメリカ合衆国はギレアド共和国という独裁政権になります。女性は職を持つことも、財産も持つことも禁止され、妊娠できる女性は侍女として権力者の家で子どもを産む道具となります。
主役のジューン・オズボーンが、この地獄のような世界で生きのび、脱走を企てる物語です。
映像が綺麗です。赤と白、グリーン、色の選別とその画面構成も素晴らしい作品です。
考えさせられます。
ともかく、ハマります!