こんにちは。ライターの大橋(カメラ初心者)です。
前回『プロカメラマンが教えるカメラ初心者でも出来るバイク撮影方法』ということでバイクの楽しみ方の一つとして『写真』をテーマに、記事を書かせていただきました。
今回は、さらに一眼カメラでのバイク撮影の奥深さを追求すべく「流し撮り」をテーマにしたいと思います。
カメラの基本性能をフルに活用(発揮)し、プレストコーポレーション専属プロカメラマンの高島さんのテクニックをヒントに、カメラ初心者の大橋が流し撮りの『極上の一枚』を撮る事を目標にします。
機種に関係なく使えるテクニックだと思いますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
左:カメラ初心者大橋(ライター)
右:プロカメラマン高島さん
使用するカメラは SONYα7 III
レンズ 28-75mmF/2.8Di III RXD【ソニー E マウント】
撮影場所は鈴鹿サーキット
【流し撮りとは、シャッタースピードの理解を深めるレッスンでもある】
- 高島
- まず、はじめに流し撮りとその効果についてお話させてください。
一般的には流し撮りの効果としては「スピード感が出る」という認識かと思います。
もちろん間違ってはいませんが、私の持論はバイク(+ ライダー)を浮き立たせる効果があるという事です。
- 大橋
- あくまでも主は被写体だと言うことですね。
- 高島
- シャッタースピードが遅くなることで、背景が流れ、被写体の存在感が増していく。
結果的に「スピード感」は表現されるのかもしれませんが、常に被写体を引き立たせるという意識を持っていただければ自然と撮り方が変わっていくと思います!
- 大橋
- わかりました。
- 高島
- 流し撮りとは、シャッタースピードの理解を深めるレッスンでもあります。
また、流し撮り撮影のテクニックに極意は無く、なかなか上手く撮れない事もあるかと思います。
特にシャッタースピードを遅くして、背景がたくさん流れるような写真を撮る場合には、さらに難易度が上がります。
失敗を恐れずに、一回一回のシャッターに集中して、撮影を行う事を目標にします。
【基本編レッスン(手持ちのレンズを使ってレッスンします)】
鈴鹿サーキット、第1、2コーナーを見渡せる B2観客席
- 高島
- まずはお使いのレンズに合わせた設定をしていきましょう。
カメラの撮影モードを、S(シャッタースピード優先モードに設定します)
次はピント。流し撮りでは、被写体とのピントの合わせ方に二種類の方法があります。
(A)マニュアルフォーカス
(B)オートフォーカス by コンティニュアス AF モード
今回は、(B)のモードを使います。
次にオートフォーカス エリアをセンターに設定する
- 高島
- 設定が完了したら、バイクがサーキットのコースのどこに来たときにシャッターを押すか、ポイントを決めましょう。
- 大橋
- おすすめのポイントの選び方はありますか?
- 高島
- 赤白のゼブラゾーンの端の部分、バイク以外の背景部分などに、流れて写るものが入るところがオススメです。
- 大橋
- たしかにアスファルト以外にも流れる物があったほうが雰囲気が出ますね。
- 高島
- そういうことです。それではさっそく一枚撮ってみてください!
- 大橋
- あれ、なんだかすごく難しいです。
- 高島
- 先程狙いを決めたポイントに足の爪先を向けてみてください。
前回のレッスンのおさらいですね。
- 大橋
- すっかり忘れてました(笑)けれど、ファインダー覗きながらだとバイクが思った以上に早くて画面から外れて見失ってしまいます。
- 高島
- そうですね、なので遠くにバイクが見えたら、そこから撮影ポイントにくるまでファインダーで追従してみてください。
ここからだとストレートのところから追従しても良いかと思います。
- 大橋
- なるほど、そうすれば見失うこともなさそうですね。
- 高島
- バイクの走行に合わせて、カメラを右から左に振る。この時に、ファインダーの真ん中からバイクがズレないように注意する。
バイクが撮影ポイントのつま先の正面に来た時にシャッターを押しましょう。
またシャッターを押した後もファインダーの真ん中にバイクを捉え続けておいてください。これが流し撮りの成功の鍵です。
- 大橋
- 最後まで振り切ることが大事なんですね。本当に撮影はスポーツみたいです(笑)
- 高島
- いい感じです!
手持ちのレンズと望遠レンズを使ってそれぞれのシャッタースピードのバリエーションを理解する
- 高島
- では最後にそれぞれのシャッタースピードで、撮ってみましょう。シャッタースピードを理解することで、場所や自分のスキル、バイクのスピードに適したシャッタースピードをチョイスできるようになります。
まずは今お使いのレンズで撮ってみましょう。
1/2000
被写体はキレイに映るが背景は流れていない
1/1000
1/500
1/250
1/125
背景は流れがまだ甘いが、被写体はあまりブレない
1/60
背景の流れ方は申し分ないが、被写体がブレてしまう場合が多くなった
- 大橋
- 望遠レンズじゃなくても最適なシャッタースピードを選べばしっかり撮れるんですね!被写体が遠いのでどれだけブレてしまってるかの確認が少し大変ですね(笑)
- 高島
- では、次からは望遠レンズに変えて同じように撮影してみましょうか。
ここでは、SONY FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS SEL70300G 望遠ズームを使用。
- 大橋
- 今度はファインダーの中でバイクが大きく見えるようになった分、追い掛けるのが難しくなりました。
1/2000
被写体はキレイに映るが背景は流れていない
1/1000
1/500
1/250
1/125
背景は流れがまだ甘いが、被写体はあまりブレない
1/60
背景の流れ方は申し分ないが、被写体がブレてしまう場合が多くなった
1/30
背景は綺麗にながれているが被写体をブレずに写すのが難しい
1/15
背景はとても流れるが被写体をブレずに写すのが技術的に難しいと感じた。
- 大橋
- うーん、僕の腕前だと 1/60 が限界な気がします(笑)
それでもかなりブレてしまうことが多いですが。
- 高島
- 大丈夫ですよ!自分が撮りたい構図とスキルにあった適切なシャッタースピードを選べることが大事ですから。
反復して腕を磨いていきましょう!
【失敗例】
バイクが写真の真ん中に写っていない。マシンが縦、斜めにブレてしまっている。
その後も何度も練習を重ねなんとか撮れた写真がこちら。
- 高島
- おー、いいじゃないですか!すごく上達しましたね。
背景がしっかりと流れた事で、バイクの存在感がグンと増しました。良い写真が撮れたと思います。
- 大橋
- ありがとうございます。でもこれが「極上の一枚」とは言えない気が・・・
- 高島
- では「極上の一枚」を目指して、次の応用編では先ほど使った望遠レンズを使ってやってみましょう。
シャッタースピードは一番『キレイに背景の流れ』が表現できている 1/60 を使って、この後のレッスンを続けます。
〈PROFILE〉
高島秀吉
カタログ用のスタジオ&ロケ撮影、国内外でのレース撮影、motoGPライダーのオフィシャルカメラマンなど、バイクにまつわるキャリアは多い。2006、2012年のマン島TTレース撮影に続き、2018年には憧れだったボンネビルスピードウイークを撮影。
プレストコーポレーションでは、多数のカタログ撮影と、現在Instagramで連載中の「見る小説」を担当。
2015年の現行R1デビュー時、当時渡航中のカリフォルニアから三日間だけ帰国し行ったカタログ撮影は思い出深いエピソード。
バイクとバイク好きをこよなく愛する写真家です。
プレストコーポレーションの公式Instagram「見る小説」はこちら
https://www.instagram.com/prestocorp_pr/