こんにちは。ライターの大橋(カメラ初心者)です。
前回『プロカメラマンが教えるカメラ初心者でも出来るバイク撮影方法』ということでバイクの楽しみ方の一つとして『写真』をテーマに、記事を書かせていただきました。
以前、夜景と工場をテーマにした「プロカメラマンが教えるカメラ初心者でも出来るバイク撮影方法 〜夜景編〜」をご紹介させていただきましたが、今回はバイクと「街夜景」をテーマにしたカメラツーリングをご紹介していきたいと思います。
左:カメラ初心者大橋(ライター)
右:プロカメラマン高島さん
撮影するバイクは『YZF-R6』
使用するカメラは SONYα7 III
レンズ 28-75mmF/2.8Di III RXD【ソニー E マウント】
Step-1 ロケーション探し
今回は夜景撮影ということで日が暮れた頃に出発しました。
まずはロケーションハンティング、事前にネットで下調べはしていたのものの、実際に行ってみないとロケーションの良し悪しはわからないので、一先ず候補地までバイクを走らせる事に。
夜景を展望できる駐車場で、景色を遮るフェンスなども無く、ロケーション的には申し分ない。
ここならバイクと夜景の良い感じの写真が撮れそうだ。
- 大橋
- ここのロケーションなんてどうですかね?
- 高島
- 絶景じゃないですか!素晴らしいロケーションです。
ラッキーな事に展望台一帯を照らす明るい街灯があり、バイクに十分な光を当てれるのもポイントです。
今回の夜景撮影レッスンでは、バイクを撮る際に、フラッシュは一切使わず街灯以外の照明としては、スマートフォンに付いているLEDや100均などで売っているLEDライトを使いましょう。それでは早速撮影を始めましょうか。
Step-2 アングルハンティング
- 高島
- 僕が夜景とバイクを撮る際に特に意識しているのは、「夜景」と「バイク」という主役が2人いる欲張りなショットなので、その二つの組み合わせのバランス感です。
今回は、より遠くの夜景を背景にするという事で、難易度が高いと思います。
夜景撮影では、街の灯りなどを出来るだけ写し込みたいので、ローアングルは避けます。
- 大橋
- わかりました。これだけ景色がいいとアングルを決めるのに悩んでしまいますね。
- 高島
- 次に、大体のアングルが決まったら自分が見せたい向きにバイクを置いてみます。
写したい夜景に対して右側から街灯の明かりが照っているので、バイクの置く位置をいろいろと探ってみるのも良いです。
交通の妨げにならないよう、さらに自分自身の安全を確保する様に配慮します。
夜景撮影では、辺りが暗いので昼間よりもさらに注意が必要です。
Step-3 オートで撮影 〜カメラの性能、基本セッティングを知る〜
- 高島
- それではまずオートで撮影してみましょうか。
- 大橋
- あれ?オートで撮影ですか?てっきりマニュアル撮影かと思いました。
- 高島
- はい、マニュアル撮影は後ほどで、まずはオートで撮ってみましょう。デジタルカメラの性能の進化で、夜景写真はより綺麗に撮れるようになっています。
またお持ちのカメラの性能、基本セッティングを知る事も初めての撮影の場合はオススメです。
- 大橋
- おお、すごく良く撮れました。
カメラのフルオートモードでも、好条件が重なれば夜景の綺麗さと、バイクに当たる街灯の灯りの効果で良い夜景写真が撮る事が出来ます。
- 大橋
- でも何でしょう、構図はすごく気に入っているのでこれはこれで良い写真なのですが、背景がボケ過ぎてしまっていて自分がイメージしていた写真とは少し違うような気が。
せっかくの夜景なので、もう少しボカしを柔らかくして背景を活かしたいです。
- 高島
- おっ欲が出てきましたね?(笑)安心してください。フルオートを使ってもらったのはあくまでカメラ性能やアングルさがし、構図作りをしてもらうためです。
また三脚がない場合でもカメラ性能でこれだけ綺麗な写真が撮れる事を知ってもらいたかったので。
本番はこれからです。
Step-4 フルオート撮影の写真の構図を参考に、その後の写真を作りこむ
- 高島
- ではここからはマニュアルモードと三脚を使って撮影していきましょう。
自分の納得のいく写真を仕上げていく工程の中で、じっくりと撮影に向き合える三脚の使用は、必須です。
また先ほど背景がボケすぎてしまうと言ってましたね。改善策としては、撮影の際のf値(レンズの絞り値の数字)を大きくしていきましょう。
- 大橋
- わかりました。フルオートでも十分良い写真が撮れたのですが、やはり夜景を活かしたいです。
けれどフルオートで他の設定に気を使わなかったので自然と構図に意識が回り、とても参考になりました。
- 高島
- また三脚を使った夜景撮影では、
・アングル+ピント合わせ
・ライブビューの使用
・マニュアルフォーカス
・カメラのシャッターボタンを押す際に生まれるブレを避ける為ドライブモードを2秒
で設定していくのがオススメです。
※数値等は参考までに
- 大橋
- いきなり情報量が増えましたね(笑)
- 高島
- 夜景撮影のテクニックとして、二つの代表的な手法があります。
1.ISO感度を上げる(数字を大きく)三脚を使わない場合には有効。画質が荒れる傾向が強い。
2.シャッタースピードを遅く(露光時間を長く)+三脚使用
夜景撮影では、2を推奨します。
答えは、バイクに照明を当てる為です。 詳しくは後述します。
構図を決めるヒントとしては、せっかくの夜景をバイクでブロックしてしまわないように配慮します。
Step-5 バイクを引き立てるためのライティング、ホワイトバランス
- 高島
- WB(ホワイトバランス)の設定を「太陽光」で撮ると、バイクに当たっている街灯の灯りが、黄色味が強い光ということが分かりますか?
- 大橋
- はい、全体的に車体が黄色く見えます。
- 高島
- このようにホワイトバランスもいろいろ変えて撮ってみると面白さ倍増です。
- 大橋
- おお!僕は2枚目の青みが強い方が好みです!
- 高島
- 日中の太陽光の下での撮影と違って、(天候の急変さえ無ければ)光の位置が変わらないので、じっくり撮影できるという利点があります。
- 大橋
- つい時間を忘れて撮影に没頭してしまいました。
バイクの位置を変えてみたり、
カメラアングルを変えてみたり、
街灯の光をジャケットであえて遮って新しい写真表現に挑戦してみました。
- 高島
- お気に入りの一枚は撮れましたか?大橋さんが標準ズームレンズでの撮影を楽しんでいるようなので、僕は、望遠ズームレンズで狙ってみます。
夜景撮影という事で、どうしても夜景全体を写しこみたい。というのも悪くないのですが、あえて背景の夜景のどの部分を使ってバイクを浮かび上がらせるか?そんな風に考えて写真を撮ってみました。
- 大橋
- すごいです、ディテールも綺麗にくっきり浮き出ていますね!
- 高島
- はい、実は上記2枚とも、特別なライトは使わずにスマートフォンのLEDや100均などで売ってるLEDライトを使って、長時間露光中に、フロントカウル部分に光を当てています。意外と身近なアイテムで工夫できるんです。
光の当て方で、カウル部分の表情が変わってきます。いろいろ角度からの光の当て方を試すと楽しいですよ!
- 大橋
- うーん、しかし右側のコンクリートがちょっと邪魔ですな。
- 高島
- 確かに、それではこういうのはどうでしょう?大橋さんちょっとコンクリートに座ってみてください。
- 大橋
- え、こうですか?
- 高島
- 構図的にどうしても避けられないコンクリートの壁があるなら、それを活かせるよう、ライダーを一緒に撮る事にしてみました。
- 大橋
- なるほど、これなら夜景に良く馴染んだ一枚に仕上がりますね。
- 高島
- ロケーションで障害物だと思ってしまう物があることは多々ありますが、ただ邪魔だとばかり思わずに見方を変えてしっかり活かせれば、極上の一枚の引き立て役にもなってくれます。
- 大橋
- なるほど、それも含めて楽しむことが大事ってことですね!
「黒バック」バイク写真撮影 〜黒バックで闇に浮かぶバイク写真を撮る〜
- 高島
- 夜景撮影はどうですか?
- 大橋
- はい、すごく楽しいです。
- 高島
- それでは最後にせっかくの夜間の撮影なので、おまけで黒バックで闇に浮かぶバイク写真を撮ってみましょうか。
- 大橋
- おー、黒ぬき写真ですね?
- 高島
- はい、街灯は最も有効な光源です。
バイクに綺麗に光が当たるように、ベストなバイクポジションを見つけてみて下さい。
夜景撮影とは、全く逆の発想ですが、出来るだけ低いアングルで撮ります。明るい地面が画面に入らず、バイクだけに光が当たってるように写ります。カメラのライブビュー機能を使って、構図やピント合わせなどを行えば、より精度の高い写真が撮れます。
- 高島
- ローアングルが狙える三脚が必須になりますが、夜のバイク撮影には有効な機材なので、入手を検討して欲しい機材の一つです。
バイクの後ろを通り過ぎる車のテールライトなどを写しこんで、画面に躍動感を盛り込んでみましたが、いかがでしょうか?
- 大橋
- 素晴らしい、夜のカメラ撮影は遊び尽くせないですね!次回はローアングルも狙える三脚を持参します・・・。
いかがでしたでしょうか?カメラとバイクという趣味が合わさるだけで、これほどまでに奥深い遊びへと変化します。
きっかけはバイクでしたが、今ではすっかりツーリングのお供にカメラを持参するまでになりました。
このように趣味の幅を広げてくれるのもバイクの魅力の一つではないでしょうか。
ぜひ、皆様もツーリングにお出かけの際はマイカメラで愛車の撮影をしてみてください。
〈PROFILE〉
高島秀吉
カタログ用のスタジオ&ロケ撮影、国内外でのレース撮影、motoGPライダーのオフィシャルカメラマンなど、バイクにまつわるキャリアは多い。2006、2012年のマン島TTレース撮影に続き、2018年には憧れだったボンネビルスピードウイークを撮影。
プレストコーポレーションでは、多数のカタログ撮影と、現在Instagramで連載中の「見る小説」を担当。
2015年の現行R1デビュー時、当時渡航中のカリフォルニアから三日間だけ帰国し行ったカタログ撮影は思い出深いエピソード。
バイクとバイク好きをこよなく愛する写真家です。
プレストコーポレーションの公式Instagram「見る小説」はこちら
https://www.instagram.com/prestocorp_pr/