金髪さんのいる同盟軍   作:ドロップ&キック

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サブタイに意味があるようなないような(^^




第046話:”帝国軍は、機雷が嫌い?”

 

 

 

エル・ファシル特別防衛任務群の拠点に戻ってきた”イナヅマ”……

艦隊随伴ドック艦”アカシ”にイナヅマを預けるなり、俺とアオバ・アヤ大尉はリンチ中将に呼び出され、任務群旗艦”ニルヴァーナ”に呼び出された。

 

やけにロックな執務室を訪れた俺、ラインハルト・ミューゼルは中将に「一番危機感を感じたのは何か?」と問われることになる。

 

「小官が一番危機感を感じた。いや、現在進行形で感じるのは……銀河帝国が、真面目に新型機雷の開発を行ってることであります」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「ほう……興味深いな? どうしてそう思った?」

 

ニヤリと笑うリンチ中将だが、悪いが期待するようなロックな答えはできんぞ?

むしろ退屈な答えだろう。

 

「そもそもこれまでの帝国軍は機雷、あるいは機雷戦を重んじていませんでした。むしろ毛嫌いしていたと言っていいでしょう」

 

別に機雷と嫌いをかけたわけじゃないぞ?

 

「どうしてだ?」

 

「機雷で敵艦を沈めるということは、”誰がその船を沈めたかわからない”からです。帝国軍人にとり、敵艦の撃沈は戦果であり栄誉……虚飾を廃して言うなら昇進の好材料、出世の種です」

 

これは”もう一つの人生”の記憶とも一致している。

武功を重んじ、それが出世への判断材料となる……実は「誰がどの船を沈めたのか?」というのは同盟・帝国を問わず戦闘詳報と艦のデータログ確認で、戦闘評価として事細かに集計を出しているのだ。

そして、それは貴重なデータとして集約される。

 

なら機雷敷設を命じた司令官や、実際に機雷を敷設した船に武功をやってもよさそうなものだが、少なくとも帝国軍では「機械が勝手に沈めただけでは武功は認められない」だの、「どのタイミングで触雷して沈んだのか詳細がわからなければ武功はやれん」なんて意見が根強かった。

 

確かに罠で人知れず獲物をしとめるより、自らの弓矢で射抜くほうが見栄えがいいのは認めるが……それが帝国軍の、いや俺が台頭する前の帝国軍人の限界だったとも言える。

 

「立身出世の絶好の機会を、自ら望んで潰す者はいません」

 

特にこの世界では帝国は、”戦争貴族”なんてくだらん風潮が支配的だという。

なら、”もう一つの世界”より、更に敵艦撃沈にこだわるのが普通だろう。

 

「なるほどな……つまり、個人の武功や栄達より、”()()()()()の勝利”を優先するものが出てきた……それも、兵器開発に意見や口を挟めるほどの高位に……ミューゼルはそう言いたいんだな?」

 

俺は頷く。

やはりリンチ中将は頭の回転が悪くない。

 

「そういう手合いが複数おり、兵器開発のみならずいずれ軍全体に影響を及ぼすような地位に上り詰めれば……」

 

まあ、そういうことだ。

”もう一つの人生”において、俺が台頭する前の帝国軍や貴族たちが大規模な機雷戦をしかけたことはない。

俺も自身ではほぼ使わなかったし、記憶に残る限り唯一と言っていい帝国の大規模な機雷原の構築は、アルテナで貴族相手にミッターマイヤーが防壁に使った時ぐらいだ。

使い方からして積極的な運用とは言い難かったが、

 

(だが、この世界の帝国は……)

 

 

 

「杞憂……で済めばいいがな」

 

「おそらくですが……この先の方が厄介な連中は出てくるでしょう。フリードリヒ四世の政策のせいで、貴族と軍部の関係も良好だと言う話も聞きますし」

 

前は姉上で、今度は軍人と貴族の橋渡し……フリードリヒ四世(あのクソジジイ)はどんな世界でも、本当にロクな事をしない。

それとも俺の前に立ちはだからねばならないと死ぬ病気にでもかかってるのか?

 

ともかく帝国がそう言う時勢なら、”もう一人の俺”が率いた精強な男達も、”あの世界”より多くの機会を得るだろう。

家柄やら何やら実力以外の部分で非主流派に押しやられていたんだ。実力を示す機会さえあれば、やがて頭角を現し大挙して同盟に押しかけてくるのは想像に難くない。

 

(いや、むしろ出てきてるのかもな……)

 

リンチ中将がエル・ファシルで遭遇した相手はマールバッハ……どんな経緯があったか知らないが、母方の家督と爵位を継いだ”この世界のロイエンタール”らしい。

ロイエンタールがいるなら、さっき挙げたミッターマイヤーも当然いるだろう。

あれはセットみたいなものだ。

 

今回、俺が遭遇した相手も怪しいものだな……貴族にしては手際が良すぎた。

 

(やれやれ、だ。楽な戦は期待するだけ無駄だろうな)

 

いや、むしろ望むところと言っておくか?

それも本音と言えば本音だしな。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「ミューゼル、やはりお前の視点はユニークだな」

 

含み笑いで言われてもな。

褒めてるのか?

 

「褒めてるさ。お前もヤンも、これまでの同盟士官にはない視点と器を持っている。少なくとも俺が見てきた中じゃ似たようなタイプはいねーよ」

 

むっ。変わり者なのは認めるとこだが……まさかこの俺が、表情を読まれたというのか?

 

「あのなぁ。お前、実は滅茶苦茶表情に出てるって気がついてねえのか? 言うならばポーカーフェイスの対極だ。相手のツラ見ながらやるギャンブルには、とことん向いてねーよ」

 

バカなっ!?

 

「だろ? アオバ」

 

「キコエナーキコエナーイ。私には中将閣下が何をおっしゃってるのか全然ワカラナーイ」

 

とは今まで空気、あるいは執務室の置物と化していたアオバ大尉だ。

そういえばコイツ、一緒に部屋に入ったな。

だが、このリアクションは……

 

「くっ、屈辱だ。まさか、よりにもよってアオバ大尉にまで表情を読まれていたとは……」

 

「それひどくないっ!?」

 

ふん。これでも上等な返しだと思うぞ。

というか中将、何を生温かい目で見てる?

 

「まっ、夫婦漫才の予行演習はそれぐらいにしとけや」

 

「誰がだっ!」

 

思わず階級差を忘れてツッこんだ俺は悪くないよな?

 

 

 

「冗談はこのくらいにしてだな」

 

そう言いながらリンチ中将は机の引き出しから無造作に”同盟軍()()”の階級章を取り出し、

 

「ミューゼル、今日からこれをつけとけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ラインハルトってポーカーフェイスとかめっちゃ苦手そう(挨拶

いやー、魔術師と金髪さんが揃えば同盟楽勝と思いきや、そう上手くはいかないみたいですね?(^^

そして、徐に出された大尉の階級章……詳細は次回にて。




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