元東急電鉄の電車 なぜ各地でよく見るのか? ポイントは長さ・軽さ・車体の素材…
中小私鉄は鉄道車両の更新にあたり、JRや大手私鉄から中古車両を安く購入することがあります。なかでも元東急電鉄の車両が多くの私鉄で導入されていますが、なぜでしょうか。まるごと元東急車両に入れ替えた会社もあります。
新車導入が難しい中小私鉄 より安い中古車両を求め
かつて首都圏を走った東急電鉄の車両を、地方で目にすることがあります。
JRや大手私鉄は鉄道車両を手放すとき、そのすべてを廃車にするのではなく、一部を他社に譲渡(売却)するケースがあります。東急電鉄はこの譲渡を比較的多く行ってきたため、北は青森県の弘南鉄道から、南は熊本県の熊本電鉄(ただし現役引退済み)まで、各地で元東急電鉄の車両が見られます。2019年末には、田園都市線などで使われた8590系電車が富山地方鉄道へ譲渡されました。
中小私鉄は予算面で、新車の導入が難しい場合があります。その際、老朽化した車両を置き換える手段として、先述のようにJRや大手私鉄から中古車両を購入するのです。たとえば岐阜県揖斐川(いびがわ)町と三重県桑名市を結ぶ養老鉄道は、東急電鉄から7700系電車を15両、6億1000万円で購入しています。1両当たり約4000万円です。また、福島県北部を走る福島交通は東急1000系電車2両を1億5000万円で購入。こちらは1両当たり7500万円です。
ちなみに新車を導入するとどのくらいかかるのか、静岡鉄道はウェブサイトで、A3000形電車(12編成24両)の導入額は39億7200万円と公表しています。1両当たりにすると約1億6000万円です。
車両の価格は、状態や両数など様々な要因で変わるため一概には言えませんが、中古車であれば新車より費用を安く抑えられることがわかります。
しかし、導入側の鉄道会社も、中古車両なら何でもよいというわけではありません。中小私鉄では、急カーブがある、建物が線路脇に近接しているなどの理由で、長さや幅の大きい車両は走れないケースがあります。
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