2 Step(ツーステップ)とは Part 1 – 音楽ジャンル
意味
2 Step Garage(ツーステップ・ガラージ)、省略して2 Step(ツー・ステップ)
90年代中盤のSpeed Garage(スピード・ガラージ)の誕生を端緒として、90年代後半には音楽ジャンルとしてのUK Garage(UKガラージ)が確立。1997年にそのサブジャンルとして2 Step が誕生、UKガラージを代表する楽曲スタイルとして成長しました。
現在では「2 Step」だけを抽出してプレイされる機会も減っており、まとめて「UK Garage(UKガラージ)」略して「UKG(ユーケージー)」としてコンパイルされることが多くなっています。
このツーステップは由来とするUS Garageからパーカッシブな方向へ進化したUK Garageの中でも、従来のFour-on-the-Floor(4つ打ち)に適合しない不規則なリズムパターンを特徴としており、楽曲数からもUK Garageの大部分を占めています。
典型的なツーステップのドラムパターンは、ビートを飛ばしたしたバスドラム(キックドラム)と3連符を使ったパーカッション要素によりシャッフルされたリズムから成り、ハウスやテクノなどと異なるビートを作り出しています。
(※ UKガラージ(UKG)のくくりでは、不規則なパーカッションであるものの、4つ打ちに近いリズムパターンの楽曲も含まれます。)
参考資料:
Red Bull – UKダブステップ黄金期を代表するアルバム 10選
UKガラージはどのようにしてダブステップになったのか?
2019.1.6 追記 Resident Advisorより(字幕機能付き)
関連)Dubstep(ダブステップ)とBrostep(ブロステップ)の違い
UKガラージの延長としてのダブステップと、現在一般的にダブステと呼ばれてしまっているSkrillex等のブロステップとの違いについて
代表曲
米国製 UK Garageクラシック、Let’s groove
NYのレーベル「Strictly Rhythm」からリリースされた有名曲も、現在ではUK Garageのアンセムとされています。もちろん当時はUK Garageなどと認識されておらず、NYガラージ・ハウスとして扱われていました。・・・つまりUKGとは制作国だけでなく、楽曲スタイル/選曲群の意味も含まれているのです。この曲には後に連なる楽曲群のパーカッシヴなエッセンスが詰まっています。
曲のタイトルはオリジナルのメロディラインであるEarth, Wind & Fireの「Let’s Groove」から来ています。
George Morel – Let’s groove [1993]米 NY Garage/UK Garage
史上初の英国製 UKガラージ、Feel My Love
まだUK Garageというジャンルが確立されていない時代の1991年に Matt “Jam” Lamontが制作し1993年にレコード化。英国初のガラージ・ハウスとみなされている曲です。
The Jam Experience – Feel My Love [1993]英 UK Garage/Speed Garage
UK Garageクラシック、Together(トゥゲザー)
単なるイギリス製のGarage Houseでしかなかった頃のGrant Nelson(グラント・ネルソン)による曲。前述のNYガラージと同様のリズムパターンで、まだFour-on-the-Floor(4つ打ち)を使用しており、2 Stepでもありません。
Speed Garage(スピード・ガラージ)のパイオニア DJ EZ(イーゼット)はこの曲をピッチを速めてプレイしていました。現在ではUKGクラシックとして扱われています。
24 Hour Experience – Together [1994]英 UK Garage/Speed Garage
Godfather of UK Garage、トッド・エドワーズ
UK Garageのパイオニア、Todd Edwards(トッド・エドワーズ)の初期代表曲です。彼のヴォーカルをコラージュする独特のサンプリング手法は、現代のエレクトロに継承されています。後に日本のm-floのリミックスなども手掛けています。
Todd Edwards – Saved My Life [1995]英 UK Garage/Speed Garage
UK Garage黎明期のアンセム、Gabriel(ガブリエル)
US Garage(Garage House)に対抗してUK Garageというジャンルが誕生したばかりの頃の曲。
2 Stepの原型である「バスドラとスネアの交互打ち」という非常にシンプルなリズムパターンを使用しています。
米国シカゴで製作され、UK Garageとして扱われている曲です。(Roy Davis Jr.(アシッドハウスを生んだDJ PierreのユニットPhutureのメンバー)、Peven Everett(シンガー)共にシカゴハウス)。
元々ハウスレコードとして制作され後にUKGの基盤となった曲として、英国BBC Radioが選ぶ「ダンスミュージックを形作った過去30年史上の重要曲」にも選出されています。
Roy Davis Jr ft Peven Everett – Gabriel [1996]米/英 UK Garage
Tina Moore – Never Gonna Let You Go (Kelly G Remix)
元々は1995年の米国R&Bヒットですが、1997年のKelly GリミックスがUKガラージとしてヒット。2 Step完成形の一歩手前と言ったところでしょうか。
Tina Moore – Never Gonna Let You Go (Kelly G. Bump-N-Go Mix) [1997] UK Garage/2 Step
1996年Aaliyah「One In A Million」を使用したディープなUKガラージ。
Groove Chronicles – Stone Cold [1997] UK Garage/2 Step
Chick(ナイル・ロジャース)の有名曲「Good Times」ネタの曲です。
Da Click – Good Rhymes [1998] UK Garage/2 Step
MJ ColeことMatt Colemanのプロデュース曲。
Ramsey & Fen – Love Bug (Produced by MJ Cole)[1998] UK Garage/2 Step
2週にわたってUKチャート1位を獲得したポップス寄りのUKガラージ。
Shanks & Bigfoot – Sweet Like Chocolate [1998]
Artful Dodger And Romina Johnson – Movin Too Fast [1998]
2 Stepのクラシック・アンセム、Hyperfunk(ハイパーファンク)
Jungle(ジャングル)などをオンエアしていたロンドンの海賊ラジオ局から2 Stepがブレイクし始めた1998年、ほぼ無名のアーティスト Antonio(アントニオ)によるアンダーグラウンド・ヒット。お馴染みの2 Stepリズムが完成しています。クラシックであるが故に、2 Stepのリズムの本質がよく分かります。
Antonio – Hyperfunk (UK Garage) [1998] UK Garage/2 Step
こちらも2 Step黎明期(れいめいき)の海賊ラジオ局でのインディーヒット曲。
Future Underground Nation – The Way [1999] UK Garage/2 Step
F.U.N – It’s The Way [Unknown] UK Garage/2 Step
DJ Zinc – 138 Trek [1999] UK Garage / Breaks
アンダーグラウンド・カルトヒット、Scrappy(スクラッピー)
2 Step Garageの立役者であり、グランド・ビートを生み出した屋敷豪太と同様にSoul II Soulの裏方クリエイターだったWookie(ウーキー)ことJason Chueの重要曲2曲です。UKベースミュージックへの道を開き、Disclosure、Rudimental、Skreamなどのヒットメーカー達に大きな影響を与えた人物です。
Wookie – Scrappy [1999] UK Garage/2 Step
Wookie – Battle feat. Lain [2000] UK Garage/2 Step
定番曲、ゼド・バイアスのNeighbourhood(ネイバーフッド)
UK Garage/2 Stepとは何かと問われたら、この曲を挙げておけばまず間違いありません。
Zed Bias featuring Nicky Prince & MC Rumpus – Neighbourhood [1999] UK Garage/2 Step
90年代R&BテイストのUKGヒット、Flowers
エリック・サティ「ジムノペディ」のメロディが組み込まれた、典型的な90年代Female R&BとUK Garageの中間的なヒット曲、UKチャート最高2位!
Sweet Female Attitude – Flowers [1999-2000] UK Garage/2 Step/R&B
最も洗練されたオシャレUKGソング、Sincere(シンシア)
MJ Cole – Sincere – Original (UK Garage) [2000] UK Garage/2 Step
アーキテックス – Body Groove
デビューシングルにしてUKチャート3位!
Architechs ft. Nay Nay Body Groove [2000] UK Garage/2 Step
2 Stepから誕生したスター歌手、Sia(シーア)とCraig David(クレイグ・デイヴィッド)
14年後に大スターとなるSia(シーア)ことSia Kate Isobelle Furler を最初のヒットに導いたのは、Exemenの名義でリミックスを手掛けた前述のWookie(ウーキー)でした。この「Little Man」では彼女自身が作曲に関わっています。以下の2曲はUKG特集でも必ず登場する有名曲です。
Sia – Little Man [2000](当時はS.i.Aと表記)UK Garage/2 Step
Craig David ft Artful Dodger – Rewind [2000] UK Garage/2 Step
元Spice Girls(スパイス・ガールズ)にしてベッカムの嫁、ヴィクトリアのヒットです。
True Steppers feat.Dane Bowers & Victoria Beckham – Out Of Your Mind [2000] UK Garage/2 Step
Lonyo – Summer Of Love [2000] UK Garage/2 Step
2019年に大ヒットしたJoel Corry「Sorry」の原曲です。
Monsta Boy – Sorry [2000] UK Garage/2 Step
Gorillaz – Clint Eastwood (Ed Case Remix) [2000] UK Garage/2 Step
Part 2 につづく