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【ドラニュース】

進んでは戻る…プロ野球の練習法が“深い” アウト1個の大切さを『全員守備』で 緊張感と遊び心と連帯感

2020年2月19日 紙面から

「全員守備」でノックを受ける加藤(中央)ら。後方は与田監督(益田樹撮影)

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◇龍の背に乗って <キャンプ編>

 球団から配布される練習メニューには「全員守備」と書かれていた。普段は居残り特打の打球音が鳴り響くメイン球場を使わず、野手14人(2軍戦参加組とビシエド除く)がサブグラウンドに集まった。

 発案者の伊東ヘッド以下6人のコーチがノッカーを務め、選手は2、3人の6組に分かれる。1の1でスタートし、2の1、2の2、3の1…。ゴロを打ち、捕る。その繰り返しでゴールは10の10。簡単? そう。最短なら1人55球。しかし、人間はミスをする。そしてプロでは失敗には相応の罰が待っている。例えば「8の5」でミスすれば、次は「7の1」に逆戻り。もちろんバディとの連帯責任。すごろくのように、進んでは戻る。

 「このクールは5勤だし、気温も低い。サッと切り上げて、たまには全員同時に終わるのもいいだろうということです」と伊東ヘッド。通常、キャンプでの野手は、全体メニューを終えて個別練習に入るため、終了時間もまちまち。ミスできない程よい緊張感と、遊び心、そして連帯感。巨人の2軍も同じような練習をしたようだ。27アウトをノーミスで取るまで続けるシートノック。サブグラウンドで寒さに震えながら一緒に見ていた井端弘和さんは、遠い目をして堀越高時代を懐かしんだ。

 「打撃より前に守備をやるんですが、状況に応じたノックをたっぷりやった後で、27アウトノーミスノックで仕上げるんです。毎日、毎日…。ああやってアウト1個を積み重ねる大切さを体で覚えたんですよね」。恩師の桑原秀範監督は広島商出身。守備の重みをたたき込まれたことが、名手の礎となったのだ。

 さて、午後1時26分に一斉に始まった全員守備で、最初に終わったのは井領、加藤、京田班で14時5分。しんがりは福田、溝脇班の同20分。野手が必死に打球を追い、歓声を上げていたころ、珍しくがら空きのメイン球場を独占していた男がいる。誰が何をしていたのか…。それは後日、改めて書く。

(渋谷真)

 

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