滋賀共生社会の先駆けに 野洲の高齢者施設、障害者が運営手伝い
野洲市小南の高齢者向け施設「デイサービス芽ばえ」で、障害者が施設の運営を手伝い、地域住民も一緒に交流を深める取り組みが、始まっている。同施設の関係者は「来るべき共生社会の先駆けとなるように」という思いを込めて、取り組みを進めている。 「高齢者や障害者は、誰かのサポートを受ける中で『申し訳ない』と感じてしまいがち。互いに支え合えれば、相乗効果でそれぞれの居場所もできてくるのでは」。代表の沢田知也さん(29)は、こうした思いを抱き、昨年十一月から挑戦を始めた。大津市浜大津の障害者就労支援施設「Shake Hands(シェイクハンズ)」の利用者を受け入れ、施設外就労として、食事や掃除を手伝ってもらうことに。にぎやかになった「芽ばえ」に、利用者の鵜飼初枝さん(79)は「(障害のある方は)いろんなところから来てくれて、一緒の仲間で楽しくやっている。私は独り暮らしで、もう楽しみもほとんどないけれど、ここで楽しみができた」と喜ぶ。 三十日には施設で新年会を開催。地域の住民も駆けつけ、高齢者や障害者、ボランティアの人々も含めて約三十人が参加する大盛況となった。施設利用者も含めた参加者は、音楽に合わせて踊りながら足踏みでうどんをこねたり、本格的なお点前で煎茶に舌鼓を打ったりと、笑顔が絶えなかった。DJとして当日の全音響を担った、シェイクハンズ利用者の大屋穣司さん(27)は「出席される方の年齢層を考えて、(流す)音楽を選んだ。初めてのDJで、皆が楽しんでくれてうれしい」と、満面の笑みを浮かべていた。 沢田さんは「さまざまな立場の方が触れ合う場が、社会の接点となり、楽しみや生きがいにつながっていくと思う。福祉事業から共生事業への転換を意識して、市民の立場から取り組みを広げていきたい」と、目を細めた。 (土井紫) PR情報 |
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