金髪さんのいる同盟軍   作:ドロップ&キック

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ノッてしまったので本日二度目の投稿です。

今回は遭遇戦(未遂)のエピローグ的な部分と……ちょっと久しぶりな方が再登場(^^
そしてサブタイの意味は本文中に……




第045話:”俺「もぐぞ」 大尉「なんでっ!?」”

 

 

 

せっかく標的があるので機雷原相手に艦隊統制射撃の練習もかねた射的大会をやっていたら、小惑星帯から予想通り敵艦隊が現れた。

数は倍。タイミング的には「いつまでも遊んでるな! 罠にかかる気ないならさっさと帰れ! それと機雷持って帰ろうとするんじゃねぇ!!」か?

生憎だったな。実はすでにいくつか回収済みだ。回収した機雷は意外と単純な構造だったため、無力化するには大した手間はかからなかったらしい。

基地へ帰ったら、さっそく解析に回されるだろう。

 

敵が現れた後のチュン・ウー・チェン中佐の判断は、敵が現れることを予測していたことを加味しても的確で迅速だった。

要するに余計な欲をかかず、土産も手に入れたことだしさっさと引いた。

 

実はこれ、俺にも経験があるが……やろうと思っても中々できることじゃない。

人間は欲深い生き物だからな。

 

ああ、言うまでも無くラインハルト・ミューゼルだ。今回、ネタはない。

その理路整然とした撤退は、練度や俺が乗る損傷艦となってしまった”イナヅマ(死人こそ出てないが中破判定)”を抱えてることを加味すれば、中々のものだ。

 

敵艦隊も無理に追撃する気はないようなのも幸いした。

もっとも、彼我の距離を考えればよほど遮二無二追いかけない限り、追いつくことは難しかったろう。

また、そういう追撃は陣形が乱れがちなので、手痛い反撃を喰らい易い……それを理解した上での行動なら、なるほど敵の手腕も悪くないだろう。

 

(似たような数なら、俺が撃ち負けることはないだろうが……)

 

かと言って舐めてかかって良いという相手でもないだろう。

俺は”もう一つの人生”を生きた俺じゃない。ならばその人生経験を糧にすべきだ。

 

(あるいは教訓か?)

 

慢心は危険……それを常に心に刻むべきだろう。

 

”ぱしゃ”

 

空席になってしまった艦長席に座る俺にアオバ大尉がシャッターを切った。

 

「その愁いを帯びた表情いいね~♪ ミューゼル()()()()♪」

 

(コイツもブレないな……)

 

俺は半ば呆れながら、

 

「艦長代理ね……まあ、是非もなしだな」

 

そう苦笑する。

 

「おおっ! ミューゼル君のレアな笑顔だ! ね、ね、もう一枚撮っていい?」

 

「ただの苦笑でよければ、好きにしろ」

 

そう、俺はチュン・ウー・チェン中佐の命で帰投までの間、イナヅマの艦長代理に臨時就任することになった。

艦長席と言うのも久しぶり……と言っていいのか?だが、同盟の椅子も座り心地は悪くない。

 

それとアオバ大尉なんだが……タメ口でいいそうだ。

俺としては面倒が無くて助かるが、

 

『ほら、ミューゼル君に敬語とか使われるとなんというか……違和感? なんかそういう感じがしてさぁ~』

 

まったくどういう意味だ。

ただ、交換条件で俺を階級ではなく君付けで呼ばせて欲しいと要求してくるあたり、ちゃっかりしてると思うぞ。

別に実害も無いんで了承したが。

 

「でも、ミューゼル君って艦長席に座ってる姿、やけにサマになってない? 座りなれてるって言うか……」

 

チッ。無駄に鋭い女め。

 

「そんなわけなかろう」

 

「いや、常識的にはそうなんだけどさ」

 

としきりに首をかしげてるな。

ふむ、ここは一つ余計な追求を避けるために、士官学校式アッテンボロー流伊達酔狂冗句(くだらんジョーク)でもかましておくか。

 

「アオバ大尉、あんまりしつこいと……」

 

「しつこいと?」

 

「乳、もぐぞ」

 

「なんでっ!? というかせめて、もぐんじゃなくて揉んでよ!!」

 

「? もぐのは駄目で揉むのはいいのか?」

 

「みゅう……ミューゼル君になら、そうされるのもいいかなって……」

 

何故、そこで上目遣いで俺をチラチラ見る?

それとドールトン少尉、何故ブラックコーヒーを一気飲みしたのだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

 

 

 

 

 

 

”エル・ファシル特別防衛任務群”は、プロパガンダもかねてかなり優遇されてる艦隊と言えよう。

何しろ半個艦隊にも関わらず、2隻も貴重(レア)な艦隊随伴修復(ドック)艦が配備されているのだ。

というか同盟のドック艦なぞ、”もう一つの人生”込みで初めて見たぞ?

 

さて、2隻のうちの1隻”アカシ”にイナヅマを預け、エル・ファシル宙域に戻ってきた俺とアオバ大尉は任務群旗艦”ニルヴァーナ”へと向かっていた。

艦長代理の俺だけでなくアオバ大尉まで呼び出しとは解せぬが、リンチ中将(しれいかん)直々の呼び出しともなれば行くしかないだろう。

 

 

 

「なるほどな……チュン・ウー・チュン中佐からの報告は受けていたが、あらましは大体わかった」

 

とうなずくのは大して懐かしさも感じない御仁、真新しい階級章をつけたリンチ中将……なんだが、

 

(中将は一体、何を目指してるんだ!?)

 

足元を本革らしいカウボーイ・ブーツで固め、頭には同盟軍正規のベレー帽ではなくテンガロン・ハット。執務室には私物で持ち込んだとしか思えないエレキギターやらエレキベースがアンプと共にこれ見よがしに並んでいる。

キャビネットにはバーボン・ウイスキーのボトルが大量に装填済み……いくらなんでもロック過ぎるだろう!!

 

「ミューゼル、今回の出撃でお前が一番、()()()を感じたのはなんだ?」

 

いかんいかん。思考を正常化せねば……

ん? それにしても、おかしな質問をするな。

 

「”危機感”ですか? 問題点ではなく?」

 

「ああ」

 

リンチ中将は鷹揚に頷き、

 

「問題点なんざ毎日、山のようにあがってるさ。じゃなくて俺が聞きたいのは、実際に敵と対峙して何を感じたか、さ」

 

言いたいことはわかるが……

 

「何しろ今回は”敵艦隊、見ユ!”こそできたが、直接刃を交えたわけじゃねえ。ならば唯一のダメージを受けた艦に乗っていたお前の私見を聞きたいのさ。敵を見て何を考えた?」

 

なるほどな。なんの参考になるのか知らんが、

 

「ならば、小官が一番危機感を感じた。いや、現在進行形で感じるのは……」

 

 

 

”銀河帝国が、真面目に新型機雷の開発を行ってることであります”

 

俺は敬礼と共にそう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アッテンボロー……金髪君に何を教えた?(汗

ま、まあ、この世界ではラインハルト君も士官学校三羽烏の一人ってことで(^^
それに少なくともこのシリーズの彼は、結構天然なところもあるし。

アオバ・アヤ大尉ェ(ワレェ)……

久しぶりのリンチ中将(ロック仕様)ですが、何やら面白いことに……?


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