新型コロナ、武漢「美人すぎる39歳の研究所長」が握る発生の謎

やはり何らかの「事故」があったのでは
近藤 大介 プロフィール

杜裁判長は、その中で罪状について、こう述べている。

「李寧の汚職は3つのものを含んでいる。第一に、実験後の動物や牛乳を売って利益を得ていたこと。第二に、本人及び他人名義で課題研究費を着服していたこと。第三に、本人及び他人名義で人件費を着服していたことだ。

その中で、李寧は本人名義の課題研究費を着服していた以外に、虚偽の領収書を223枚も切っていた。それによって他人名義の科学研究費2092万元(約3億3000万円)を着服していた。これは全体の82%にあたる。検察機関はそれらの書証を調べ上げ、証人の証言を取り、共犯者の供述と照らし合わせ、証拠を確定させていったのだ」

この1月3日に判決が出された刑事事件が、いま中国で、にわかに注目を集めている。それは、農業部門における中国の最高学府である中国農業大学でさえ、「実験を終えた豚や牛、牛乳を、密かに業者に売り渡していた」という事実が明らかになったからだ。業者はそれらを素知らぬ顔で市場へ持って行き、市場では他の豚や牛、牛乳と一緒に売られていたに違いない。

これと同じことが、新型コロナウイルスの発生源と言われる湖北省武漢の華南海鮮市場でも行われていたのではないか――そんな疑念が、中国のインターネットやSNS上で飛び交っているのである。

 

「武漢病毒研究所」が怪しい

中国のネットやSNS上で飛び交う情報というのは、中国当局が指摘するように「流言飛語」の類も一部にはある。例えば私は「安倍晋三が突然死した」「金正恩が逮捕された」といった「ニュース速報」を見たこともある。

だが、後で振り返ると真実だったというニュースも少なくない。特に、新型コロナウイルスに関しては、中国全土で現在、「戦い」が続けられている最中であり、かつ多くの中国人が自宅待機を余儀なくされている。そのため、「伝えられていない正しい情報」を知ると、それを拡散させようとする傾向が強い。その結果、それらを一刻も早く削除しようとする中国当局との壮絶なイタチごっこが続いている。

そんな中、いまネットやSNS上で疑惑の目が向けられているのは、「中国科学院武漢病毒研究所」である。新型コロナウイルスの発生源とされる華南海鮮市場から、わずか15.8㎞しか離れていない。

中国科学院武漢病毒研究所のホームページによれば、いまの中国が建国されて7年後の1956年に創設された。中国で初めてのP4(国際的な生物安全の最高クラス)生物実験室を備えている中国最高峰の病毒学の研究所である。