「中古車は知人のクルマ屋から買ってはいけない」
そんな暗黙のルールがある。知人であればノーと言いづらくなるため、不人気車や売りにくい中古車を押しつけられやすくなってしまうからである。
もちろん、知人だからこそ、一生懸命、質のいい中古車を探してくれるかもしれない。しかし、その知人を思う気持ちよりも、経営者としての「お金儲けをしたい」という気持ちのほうが強ければ、不人気の中古車を売りつけるのは、むしろ経営者としては正しい行為といえる。
そして、売りつけられた知人のほうも、「いい中古車を買いたい」とその経営者に頼っている時点で、何がいい中古車で何が悪い中古車なのか判断ができない状態といえる。不人気車種や売れ残りの中古車を押しつけられても、気づかれない可能性のほうが高い。
目の肥えた口うるさい客を相手に交渉するよりも、知人のほうが「友達だから俺のことを信じろ」と手短なセールストークで、ストレスなく売れない中古車を売ることができる。
このように自分が知らないもの、くわしくないものは、極力、知り合いから買わずに、知らない人から買ったほうが、質のいいものを安く購入できるのである。
私がコンサルティングに入るときに警戒しているのが、この「知人にお願いした」というケースである。ホームページの制作でもシステムの開発でも、知人にお願いしていいパフォーマンスを発揮できている企業は極めて少ないといえる。なぜならば、知人にお願いしている時点で、安心して任せっきりになってしまい、自分で仕事の内容を検証しなくなってしまうからである。