ピケティ「21世紀の資本」が映画化された背景

資本主義問う経済書をドキュメンタリーに

3月20日より新宿シネマカリテほか全国順次公開の『21世紀の資本』。トマ・ピケティの同名著書が原作だ(東洋経済オンライン読者向け試写会への応募はこちら) ©2019 GFC (CAPITAL) Limited & Upside SAS. All rights reserved

フランスの経済学者、トマ・ピケティ・パリ経済学院教授が2013年に出版し、世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』は、「格差社会における不平等の真相」を膨大なデータとともに解説した経済書である。世界35カ国で翻訳され、300万部を突破。日本でも翌2014年に翻訳され、13万部以上を売り上げている。

3月10日(火)に独占試写会を開催します(上記バナーをクリックすると応募画面にジャンプします)

ピケティ教授が指摘する現代の資本主義社会は、わずか数パーセントの金持ちに富が集中してしまい、それ以外の富を持たざる者たちと分断されてしまっているというもの。

ピケティは過去300年のデータを駆使して、資本収益率が経済成長率を上回る「r>g」という不等式で、資本主義の矛盾を表現。そうした社会のありようについて経済、歴史の両面からひもといてみせた。

そして先行きが不透明な時代を生き抜くためのヒントを得ようと、多くの人が書籍を手にした。だが、ピケティ教授がおよそ15年かけて完成させたという著書は、日本版で728ページ、定価が6050円(税込み)というなかなかのボリュームで、読みこなすことが難しかったという声もしばしば聞こえてきた。

原作者のピケティ自ら出演・監修

それでも「世界の知識人にとっての必読書」と言われる本書をなんとか読み解こうと、多くのサブテキストや解説書が発売され、書店にも多く並んでいたことも記憶に新しい。

そんなピケティ教授の『21世紀の資本』を読み解くための、新たな指針となりそうな映画が3月20日より新宿シネマカリテほかにて全国順次公開される。フランスとニュージーランドの合作映画となるドキュメンタリー映画『21世紀の資本』がそれだ。この作品には、ピケティ教授本人が映画制作にも参画しており、脚色・監修・出演の3役を務めているということも、注目のポイントとなっている。

次ページ多くのオファーからNZの監督とタッグ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • トクを積む習慣
  • コロナウイルスの恐怖
  • 子どもを本当に幸せにする「親の力」
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
1

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
  • あっぺんど7d6c3ee49649
     親の代から引き継いで得た莫大な資本は、経済成長率を上回る速さで増え続けます。彼らは働かなくても富を増やします。
     庶民が努力してある程度の成功を収めても、決して追いつくことはできません。
     「r>g」はそういうことを表しています。

     アメリカ大統領選挙で、サンダース・ウォーレン両候補が資本課税を主張する根拠です。
     『21世紀の資本』を読むのが難しい人も、著者観衆の映画を通じてそのエッセンスを理解するでしょう。
    up2
    down1
    2020/2/18 09:56
トレンドウォッチAD
船・港――海の経済学<br>ニッポンの生命線が危ない

環境規制の強化によって、日本の海運会社は大きな投資を迫られています。中韓に敗れた日本の造船業界はさらなる再編が不可避に。日本の港湾の競争力低下も止まりません。「海をめぐるグローバル競争」の最前線を掘り下げます。