阪神・福留孝介外野手(42)が今季初実戦となる18日の紅白戦を前に、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。球界最年長の大ベテランは唯一無二の経験を武器に、43歳シーズンでは前人未踏の「全試合出場」「打率3割4分」を目標に設定した。(取材・構成=中村 晃大、表 洋介)
―初日から打撃投手を務めるなど42歳とは思えない精力的な動きを見せている。
「開幕自体もちょっと早いし、(オフは)少し早めにという気持ちを持ちながら準備してきたつもり。自分ができることをやっているだけで、年齢は気にしていない」
―2学年上の上原(巨人)、福浦(ロッテ)が昨季で引退。球界最年長になった。
「球界最年長というのは周りが言っているだけで、自分自身が『俺が最年長だ』と言っているわけじゃない(笑い)。ただ単に僕より年上の人がいないというだけ」
―昨季は6月に両ふくらはぎ痛で5年ぶりの登録抹消を経験した。
「だんだん疲れが取れなくなるとか、若い時みたいにスピードを求めたりすればリスクは高くなるけど、自分の中で今できる範囲を見極めて体と相談していければ、(体の衰えは)そんなに気にはならないかな」
―走攻守そろったプレースタイル。近年は代打で過ごすベテランも多いが…。
「代打でとは思ってないし、そういうイメージは全然持っていない。グラウンドに立てば、守ることも打つことも走ることもする。若い選手と同じようにというつもりではいますけどね。『走れなくなったらダメ』という思いがすごく強い。走ることは自主トレの時から多くやっています」
―今季はNPB通算2000安打、通算400二塁打など数々の記録達成が視野に入る。
「日本だけの2000本というのは意識しますし、自分のスタイルの中でツーベースは、しっかりと打てる、打って走れるという状況だからこそ達成できると思う。そういう意味では、その2つはいい目標ですね」
―43歳シーズンで規定打席に立ち、打率3割をマークしたのは落合博満(当時巨人)しかいない。
「難しいかもしれないけど、チャンスはあると思いますし、3割打てればいいとはあまり思っていない。3割3分、4分打てればいいなと思っているので。届かないかもしれないけど、目標は常に高く持ってやれたらいいなと思います。ここ何年かは気を使っていただいて、休みを入れてもらっている。ただ、それが自分の中で納得できているかと言ったら、納得していない。ありがたいですけど、最初から(休養日を)計算に入れるつもりもないので。全試合出るという目標は常に持っています」
―肉体的には衰えていく一方、年齢を重ねることで得たこともある。
「今年入った新人の選手と、僕ととなったら、スピードとか体力的な面は向こうの方が上かもしれない。じゃあ何で勝てるかとなったら『経験』ではチームのどの選手にも負けないと。そこは自信を持ってやっていける場所だし、自分の持っている引き出しというのが数多く出せるので。そういう意味では、チームの中にないものを唯一持っているのかな。別に隠すことでもないし、どんどん聞いてもらって、僕が伝えられることは伝えます。伝えたから負けるとも思わないし」
―06、09年のWBCで共闘したイチロー(マリナーズ)も45歳で引退。同世代の選手が続々と減っていく。
「みなさんもっとできる方だと思う。僕は『もっとできるのに』と思いましたけど、その方が決めたことなんで。引き際は自分が決めること。自分が決められる方は数少ないと思いますし、自分で引き際を選べて決められるのはすごいことだなと思います」
―福留選手も自身で去就を決められる選手だが、この先のことは。
「分からない。僕が決めることじゃないし、その時になってみなきゃそういう気持ちになるかどうかも分からないんでね」
◆福留 孝介(ふくどめ・こうすけ)1977年4月26日、鹿児島県生まれ。42歳。PL学園高から日本生命を経て、98年ドラフト1位で中日入団。02、06年に首位打者、06年にMVP。07年オフにFA宣言し米大リーグ・カブス入り。11年7月にインディアンス移籍。Wソックス、ヤンキース3Aを経て12年オフに阪神に入団した。日米通算2395安打(MLB通算497)、322本塁打(同42)、1240打点(同195)。今季年俸は1億3000万円。182センチ、92キロ。右投左打。