昨年十~十二月期の実質国内総生産(GDP)が大きく落ち込んだ。消費税増税、気候変動、米中対立のトリプルパンチが効いた。新型肺炎の影響も出始める中、雇用への波及を全力で防ぐべきだ。
内閣府が公表した速報値は前期比が1・6%減、年率換算で6・3%減と五・四半期ぶりのマイナスだった。多くのエコノミストの予測を超えた経済成長の落ち込みだ。七日公表された昨年の実質賃金も前年比0・9%減で景気情勢は厳しい局面を迎えたと判断していいだろう。
前回の消費税率引き上げ時も大きなマイナスだった。ただ今回の場合、軽減税率の導入やキャッシュレスのポイント還元といった対策が実施された。だが数値を見る限り、実際の効果はかなり薄かったと指摘せざるを得ない。
米中の激しい貿易対立や台風被害、暖冬などが製造業、非製造業の生産活動に影響を及ぼしたことは確実だ。企業収益の悪化は経営者の心理を悪化させ、設備投資の低迷へと連鎖したと分析できるだろう。
さらに新型肺炎という新たな難題も急浮上した。二〇二〇年一~三月期の成長が一層落ち込む可能性は高いはずだ。
日韓の対立で打撃を受けていた観光産業は中国からの旅行客激減に直面。影響は鉄道や航空などの輸送、旅行会社、宿泊施設、大小の店舗など幅広い分野に広がっている。体力のない観光関連の中小企業では、資金繰りの悪化が雇用問題に発展する深刻な状況も起きている。
政府は中小企業向けの五千億円規模の緊急貸付・保証枠の設定など対策を打った。機敏な対応は評価できるが、雇用不安は容易に止まらない。各自治体とも緊密に連携を取り支援策を立て続けに打つ必要がある。
二〇年度予算と合わせ災害への対応を念頭に一九年度補正予算も組まれた。気候変動への対応は極めて重要だ。だが緊急性の低い予算については、吟味した上で新型肺炎対策に回すといった手法も一つの選択肢だろう。金融、財政政策の余地が狭まっている以上、柔軟な姿勢を求めたい。
雇用については大企業の経営者に強くくぎを刺しておきたい。景気状況に動揺し、足元の決算対策に向けた安易なリストラや下請けへのコスト転嫁を行うことは経済全体を収縮させるだけだ。より高い視点に立った経営判断を期待したい。
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