シンポジウムで日本料理の品位について考える料理人や研究者(京都市中京区)

シンポジウムで日本料理の品位について考える料理人や研究者(京都市中京区)

 日本料理の品位をテーマにしたシンポジウムが11日、京都市中京区のホテルで開かれた。京都の料理人や研究者による対談や試食会を通じ、食の新たな可能性を探った。

 老舗料亭の料理人や大学・企業の研究者ら4人が対談した。京料理「直心房 さいき」(東山区)の主人、才木充さんは、日本料理の品位を引き出すポイントとして「おいしすぎない余韻」と「食感の均一性」を挙げた。強い油脂やうま味を使わないことが大切とし、「あえて後味を残さないのがおいしさ。食感や風味といった素材の良さを感じてもらいたい」と説明した。
 京都調理師専門学校の和食・日本料理上級科学科長、宗川裕志さんは、日本料理の楽しみ方の一つは味を想像することとし、「一目見て味が分からないよう、イマジネーションの余白を与えることが必要」と指摘。
 龍谷大農学部准教授の山崎英恵さんは「『おいしすぎない』や『量が多すぎない』など、少し足りない要素こそが日本料理の品位につながっているのではないか」と考察した。
 他にも、料理人ら8人がそれぞれの観点から品位を表現した創作料理を紹介。食材の盛り付けや切り方を工夫して視覚的に品位を引き出した料理もあり、試食した参加者を驚かせていた。
 シンポジウムは龍谷大やNPO法人日本料理アカデミーなどが企画し、約350人が参加した。