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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

10-12月GDP年率6.3%減、5期ぶりマイナス-消費・設備投資不振

更新日時
  • 減少率は前回消費増税後の14年4-6月期以来の大きさ
  • 1-3月のマイナスも覚悟、期待できる材料足元にない-大和証の岩下氏

2019年10-12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率で6.3%減と、5四半期ぶりにマイナス成長となった。昨年10月の消費増税を控えた駆け込み需要の反動や大型台風の影響により内需が鈍化。米中貿易戦争の長期化などによる世界経済の減速も下押し要因となった。内閣府が17日発表した。    

  減少率は前回消費税率が引き上げられた14年4月から6月までの四半期(前期比1.9%減、年率7.4%減)以来の大きさで、市場予想よりも大きかった。

  西村康稔経済財政政策担当相はGDP発表に際しての談話で、民需の弱さを挙げながらも、消費増税の個人消費への影響については、「駆け込み需要と反動減は前回ほどではなかった」と指摘。10月以降は総じて「個人消費のマイナス幅は縮小傾向にある」との認識を示した。先行きは新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響に十分注意し、「緊急度に応じて、必要な施策を臨機応変に講じる」考えを示した。

       

キーポイント

  • 10-12月期実質GDPは前期比1.6%減、年率換算6.3%減(ブルームバーグ調査の予想中央値はそれぞれ1.0%減、3.8%減)-前期はそれぞれ0.1%増、0.5%増に下方修正
  • 個人消費は2.9%減(予想2.0%減)-前期0.5%増
  • 設備投資は3.7%減(予想1.6%減)-前期0.5%増に下方修正
  • 輸出は0.1%減、輸入は2.6%減-外需寄与度はプラス0.5%

    

減少率は前回消費増税以来の大きさ

エコノミストの見方

バークレイズ証券の前田和馬エコノミスト:

  • 個人消費はおおむね想定内だが、設備投資がかなり落ち込んだ。輸出停滞を受けた投資マインドの弱さが出ている可能性が懸念される
  • 基本的には消費増税を受けた一時的な景気停滞。設備投資が本当に弱くなっていくと、内需の先行きも怪しい面もある
  • 新型肺炎の影響で1-3月もマイナス成長になるのかは微妙なところ。10-12月にこれだけ落ち込みが強かったことを考えると、その戻しが多少出てくる可能性の方が高い

大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト:

  • 消費税の影響だけではなく、台風や暖冬の影響などいろいろ混じり合っている。外需がプラスとはいえ輸入の落ち方が大きいプラスなので、頼もしいプラスではない
  • 普通ここまで落ちたらリバウンドに期待するが、コロナウイルスの影響で期待できる材料が足元にないというのが一番の悲劇。1-3月期のマイナスも覚悟する
  • 1-3月期がダメということになれば、そこで政府は補正予算を組んでくるだろう

クレディ・スイス証券の塩野剛志エコノミスト:

  • 増税の影響によって消費が大きく減速したことがマイナス成長の主要因。日本の消費者が物価の上昇に対して弱いことを改めて示した
  • 1-3月期については、新型肺炎の影響でこれまで景気をけん引してきたサービス産業が大きく落ち込む可能性
  • 輸出がどの程度戻ってくるかも不透明で、景気の先行きについては弱気にならざるを得ない.
  • 政策対応としては日銀には限界があるため、財政政策を活用するという声が高まっていくのではないか

詳細

  • 民間最終消費支出の減少に寄与したのは自動車、化粧品、家電関係、アルコール飲料など
    • それ以外、暖冬の影響から衣料の下落も効いていて、台風などさまざまな要因が複合し、このような結果になったもよう
  • 設備投資は建設、土木建設、生産用機械などが下落に寄与

(西村経財相の談話と詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新しました)
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