今、世界で猛威をふるう新型インフルエンザ。ウイルスと人類との闘いの最前線に立つのが、WHOで新型インフルエンザ危機対策チーム統括をつとめるメディカルオフィサー・医師、進藤奈邦子(46)。
「プロフェッショナル」では3年半前、鳥インフルエンザ対策に奔走する進藤の密着ドキュメントを放送。今回はその続編。
WHOは、未知のウイルスとの闘いの世界の司令塔だ。各国で起こる集団感染の情報をいち早くキャッチし分析、戦略を練る。医師である進藤の役割は、チームで世界各国の臨床データを収集。そこから治療や対策の指針を決め、発信すること。基礎疾患のない健康な人でも、ウイルスが直接肺に感染し、重症の肺炎や合併症を起こすケースが報告され出した。進藤は、ひたすらウイルスの動きを追いかけ、有効な治療法を練り続ける。
2009年8月、タイ政府から進藤の元に、緊急の要請が飛び込んできた。アジア最大、100名近くの死者が出ていた。進藤は単身タイに乗り込み、感染拡大の食い止めに挑んだ。病院の実態を聞き取り調査するなかで見えてきた、患者急増による医療機関の混乱ぶり。死者急増の背景には、初期段階での抗インフルエンザ薬の投与の遅れがあった。