3日から横浜港で停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の集団感染は、米メディアから「第2の感染中心地」と批判されるひどさで、80歳以上の一部乗客がようやく税務大学校(埼玉県和光市)に移送された。
それでも政府の対応は相変わらず場当たり的だ。外務省は震源地の武漢を含む湖北省に続き、浙江省温州市について感染症危険情報をレベル3に引き上げ。渡航中止を勧告した。安倍首相はきのう(14日)の新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、感染症の専門家会議を対策本部内に設置したと表明。「これまで以上に対策の検討を進めていく」と勇ましかったが、その言葉に説得力はない。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は言う。
「国内での感染拡大は完全に人災です。感染症対策に力量がない厚労省と官邸のデタラメが重なり、事態を悪化させたのは明らか。クルーズ船の海上検疫・隔離を決定したのは、英医学誌『ランセット』で中国の研究チームが無症状感染者やヒト・ヒト感染の可能性を指摘した後。ウイルス検査の対象を滞在歴などで限定したため、感染者の確認が後手に回ってしまった。神奈川で80代女性が死亡しましたが、すみやかに検査して抗HIV薬を投与していたら、結果は違っていたかもしれません。政府がやるべきは指示ではなく、ロジ。全国各地でウイルス検査ができるような態勢を整備することに尽きる。検査は1万円程度ですから、1万人検査に要する費用は1億円、10万人で10億円に過ぎない。検査件数の増加はエビデンスの積み上げにもつながるのですから、早急に方向転換すべきです」