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# 情報リテラシー

大炎上「オリラジ中田のYouTube大学」なぜ人は信じ込んだのか?

「勉強した気にさせる」体験の是非

「YouTube大学」問題にどう向き合うか?

中田敦彦のYoutube大学」がフェイク情報を拡散していると先月半ばに問題となりました。イスラム教に関する解説動画に誤りが含まれていたことを皮切りに、相次いで専門家から”ツッコミ”が入る事態となりました。仮に「YouTube大学」の動画が専門家の目に止まらなければ、今でも問題も表面化しなかった可能性すらあります。

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私たちが「YouTube大学」をいつの間にか権威のある媒体と信じ込んでしまった背景には、どのような要因があるのでしょうか。

結論からいえば、「Youtube大学」は私たちを取り巻く情報をどう目利きしていくかという大きな問題の一角に過ぎないのです。そこで今回は、私たちが情報を正しく受けとるためにこの問題をどう考えていけばよいか検討していきたいと思います。

 

読解力”過去最低”の衝撃

そもそも、情報の目利きには、物事の知識そのものではなく、理解力が問われます。知識ベースで目利きしようとすると、未知の情報に打つ手がなくなるからです。しかし、理解力ベースの目利きであれば、未知の情報であっても柔軟に対応することができるのです。

この点について、経済協力開発機構(OECD)が昨年12月に公表した学習到達度調査(PISA)の結果によれば、日本人生徒の「読解力」は過去最低の15位を記録したことが明らかになりました。日本人生徒は文章から情報を探し出すことや、情報の正確性を評価する問題が特に苦手であり、根拠を示して自分の考えを説明する能力の低下も顕著でした。

一般社団法人 全国教育問題協議会のリリースでは、OECDの教育局長であるアンドレアス・シュライヒャー氏が、上記のような日本の順位低下について「(デジタル世界の)曖昧な情報の中で自分の考え方を導き、事実と意見の区別を付ける経験が大事ではないか」と言及しています。