安倍政権の支持率が急落している。
時事通信が6-9日に実施した世論調査で、内閣支持率は前月比1.8ポイント減の38.6%、共同通信が15、16両日に実施した世論調査では、前月比8.3ポイント減の41.0%だった。
これについて一部マスコミは、「桜を見る会」などに対する安倍首相の国会対応を原因だとしている。しかし、筆者の見立てはそうでない。消費増税がもたらした景気への悪影響や、新型肺炎への対応が後手後手に回ったことが原因だ。
一部マスコミや野党支持者はもともと安倍政権を支持していないので、彼らがこれまでと同様の批判を繰り返しても、支持率には大きな影響を与えない。支持率の低下は、これまで支持していた人が不支持に回ったときに起きるもので、多くの人が関心を持つ消費増税の悪影響や新型肺炎への対応は、支持から不支持への転換のきっかけになりやすい。
特に新型肺炎への政府の対応について、筆者はもちろん、多くの人ががっかりしている。安倍政権は、これまで危機対応に関してはそれなりに上手くやってきた。例えば、災害や北朝鮮のミサイル発射への対応は迅速だった。
ただし今回の新型肺炎は、そうではない。2月3日付けの本コラム「新型肺炎が日本経済と安倍政権の「致命傷」になってしまう可能性」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70203)を見てもらいたい。
このとき筆者は、日本政府の初動である「指定感染症」指定に潜む問題を取り上げた。1月28日に閣議決定、即日公布されたにもかかわらず、施行が2月7日となった対応の遅さ、また隔離・停留・検査・無症状病原体保有者への適用ができない2類指定となったことの緩さなどだ。