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岐阜企画は常時20近く 実はすごい多治見市図書館
「多治見市の図書館がすごいらしい」。県外で司書をしている友人に聞いて、市図書館に通い始めて半年。確かに平日、休日を問わず、多くの人が利用しているのを目にする。人気の理由は何か。二月中旬に、同市豊岡町のヤマカまなびパーク内にある図書館本館を改めて訪ねてみた。 館内を歩くと、「バレンタイン、ホワイトデーに」「予防しよう! 風邪・インフルエンザ」などの時節に合った企画コーナーが目に入る。「犬の本・猫の本」を集めたコーナーでは、来館者が犬派か猫派かシールを貼って投票できる掲示物も。興味を引く工夫がされていた。 館長の水野裕子さん(42)によると、こうした企画コーナーは常時、二十カ所近く設置。分館も合わせた全館で五十万冊近くの資料がある市図書館では棚に入った本が利用者の目に届きづらいことが多いためという。 市図書館全館の二〇一八年度の貸出冊数(視聴覚資料を除く)は約七十八万冊で、市民一人当たり七冊を超える。国の社会教育調査による一七年度の国民一人当たりの貸出冊数五・二冊を、多治見市は二冊近く上回る。 書棚にも工夫がある。医療情報の書棚では文学や社会科学といった分類によって、異なる書棚に置かれることの多い闘病記も合わせて並べてある。書棚では資料を病気ごとに分けた目印も。水野さんは「ただでさえ病気で不安な人が本を探しづらくて不安になってほしくないので」と話す。 子連れで書棚の間を移動するのが難しい子育て世代向けには、育児関連本や名付け本など、分類にとらわれずまとめて並べる。子ども向けの絵本コーナーの書棚の上には、子育て世代向けのフリーペーパーまで並べる徹底ぶり。「一カ所にまとまっていて助かる」との声も寄せられているという。 資料収集にも特色がある。陶磁器関係のコーナーに行ってみると、非売品の雑誌や図録、カタログなどが詰まった書棚がずらり。中には一九五五年に発行された雑誌もあった。「全国の古書店やギャラリーなどに問い合わせて集めています」と水野さんは胸を張る。二〇一五年にはこれらの収集などが認められ、先進的な図書館活動をたたえる「ライブラリー・オブ・ザ・イヤー」の大賞に選ばれた。 英語を学ぶ人が辞書を使わなくても読めるように書かれた多読本は、個人で買い集めると本代が重くなってしまうが、その収集にも力を入れている。一月十五日現在で約三千五百冊を所蔵する。 週四回ほど利用する同市北陵中三年、高木康佑さん(15)は「他の図書館に比べて数学など好きな本が多い気がする。企画コーナーでは今まで興味のなかった本にも出合える」と魅力を語る。水野さんは「工夫や特色を来たことがない人にも伝えたい」と今後の課題を挙げた。 (片岡典子) 今、あなたにオススメ Recommended by PR情報
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