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「アイカツはじめます」

2015年11月23日「アイカツはじめます」
杉本 和道(日本基督教団各務原教会)

聖書:マタイによる福音書 4章23-25節
イエスはガリラヤ中を回って、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、また、民衆のありとあらゆる病気や患いをいやされた。
そこで、イエスの評判がシリア中に広まった。人々がイエスのところへ、いろいろな病気や苦しみに悩む者、悪霊に取りつかれた者、てんかんの者、中風の者など、あらゆる病人を連れて来たので、これらの人々をいやされた。
こうして、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ、ヨルダン川の向こう側から、大勢の群衆が来てイエスに従った。

聖書 新共同訳 ©共同訳聖書実行委員会、©日本聖書協会

 「俺、アイカツはじめたんだ。」名鉄電車で私の隣に座った大学生ぐらいの男の子が言いました。
 「うぇっ!お前、、、まじかよ‼」彼の連れの男の子が驚きの声をあげました。その声があまりにも驚いていたこと、また、「アイカツ」という言葉も知らなかった私は、気づかれないようにそーっとケータイで「アイカツ」という言葉を検索してしまいました。

 『アイカツ!』とは、日本の玩具メーカーが発売するトレーディングカードを使用した日本の女児向けアーケードゲーム。また、それを題材にしたアニメ。「アイカツ」とは「アイドル活動」の略称。キャッチコピーは「国民的アイドルオーディションゲーム」で、メインターゲットは小学生低学年の女児。こんな情報が目に飛び込んできました。

 「夏休み、小学生の姪っ子をおもりでゲームセンターに連れて行ってやったんだけど、そのとき『一緒にやろう』と言われてやったら意外と面白くてハマってしまった」と「アイカツはじめました」宣言をした子が告白しました。その声は、少し不安に震えているように聞こえました。もしかすると、小学生の女の子対象のゲームをしていることを友人が気持ち悪がるのではないか、受け入れてくれないのではないかと心配しているのかもしれません。

 二人はしばらく会話を続けていましたが、「アイカツはじめました」宣言をされた方の男の子が、「まぁ、いいんじゃね。誰かに迷惑かけているわけじゃなし。お前が好きなら問題ないでしょ」と言いました。アイカツ宣言した子は、「お、おおう」と驚きと安堵が混ざった返事をしました。

 何だか熱い青春ドラマを観た気がしました。駅で降りていく二人の背中を勝手に見送りながら、感動がこみ上げてきました。遠ざかる二人の姿、なんだか輝いて見えました。
 相手を受け入れる、相手のありのままを受け入れる、これってなかなか難しいんです。でも、この行為が人を愛することの「はじめの一歩」なんです。

 イエスが活動をはじめました。「大丈夫、あなたは愛されている。神さまから愛されている。あなたは大切なんだ」と伝えました。誰に向かってでしょう。
 《いろいろな病気や苦しみに悩む者、悪霊にとりつかれた者、てんかんの者、中風の者など》(24節)。今日の聖書はこう記します。当時このような人々は、周りから関わりを拒否されていました。自分を大切だなんて思えない。いつもビクビクして、不安で、身体の痛みだけでなく心の傷(傷み)に苦しんでいた人たちに向かってイエスは伝えたんです。「大丈夫、あなたは愛されている。神さまから愛されている。あなたは大切なんだ」と。

 イエスはじめたんですね、人を「愛する」活動という意味の「愛活(アイカツ)」を。そして、イエスのアイカツは終わることがありません。今このときも、このメッセージを聞いている「あなた」を愛しておられます。

 さて、みなさんはどうですか? アイカツしていますか? 目の前に立つその人を、隣に生きるその人を、愛していますか? 私たちが、人を愛して生きられるように共にお祈りしてください。

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