【2018年/中国/121min.】
推理能力を競うクリマスター犯罪大師の世界ランキングで今や第2位の大学生・秦風は、叔父・唐仁の結婚式に招かれニューヨークへ降り立つ。
早速唐仁に連れられ結婚式会場へ行くと、そこにはなぜか世界中から集まった名探偵たちがズラリ。
そう、結婚式は嘘だったのだ。
会場に現れたのは、アメリカ華人社会を牛耳る七叔。この七叔の孫ジェイソンは、7月1日、チャイナタウンの荒神廟で、心臓をえぐられた無残な遺体で発見。高齢で余命いくばくもない七叔は、ここに集めた世界中の優秀な探偵たちを競わせ、犯人探しの大会を開催。一週間の期間内に、犯人を探し当て、差し出した勝者には500万ドルもの賞金を贈るという。
高額賞金に目がくらんだ唐仁に騙され、この場に駆り出された秦風も、成り行きで大会参加者となり、ニューヨーク警察の美人刑事・陳英からの説明で、七叔の孫ジェイソンが殺された数日前に、腎臓がえぐられた白人女性の遺体も発見されており、現場にはいずれも、謎の鎮靈符が残されていたことを知る。2ツの案件は、被害者の人種性別、抜き取られた臓器にも共通点が無く、犯人の目的は掴めないものの、秦風は同一犯による連続殺人事件と断定。
第3の被害を防ぐべく、事件解決にのりだすが…。
早速唐仁に連れられ結婚式会場へ行くと、そこにはなぜか世界中から集まった名探偵たちがズラリ。
そう、結婚式は嘘だったのだ。
会場に現れたのは、アメリカ華人社会を牛耳る七叔。この七叔の孫ジェイソンは、7月1日、チャイナタウンの荒神廟で、心臓をえぐられた無残な遺体で発見。高齢で余命いくばくもない七叔は、ここに集めた世界中の優秀な探偵たちを競わせ、犯人探しの大会を開催。一週間の期間内に、犯人を探し当て、差し出した勝者には500万ドルもの賞金を贈るという。
高額賞金に目がくらんだ唐仁に騙され、この場に駆り出された秦風も、成り行きで大会参加者となり、ニューヨーク警察の美人刑事・陳英からの説明で、七叔の孫ジェイソンが殺された数日前に、腎臓がえぐられた白人女性の遺体も発見されており、現場にはいずれも、謎の鎮靈符が残されていたことを知る。2ツの案件は、被害者の人種性別、抜き取られた臓器にも共通点が無く、犯人の目的は掴めないものの、秦風は同一犯による連続殺人事件と断定。
第3の被害を防ぐべく、事件解決にのりだすが…。
2018東京・中国映画週間で鑑賞。
原題は『唐人街探案2~Detective Chinatown Vol. 2』。
2016年の同映画祭で鑑賞した『僕はチャイナタウンの名探偵』(2015年)の続編で、監督も脚本も前作と同じ陳思誠(チェン・スーチェン)。
本作品は、唐仁と秦風の叔父+甥コンビが、ニューヨークを舞台に、現在進行形で発生続けている連続殺人事件の真犯人を突き止めようと奔走する7日間をコミカルに描く探偵ミステリー。
タイを舞台に描かれた前作のラストで暗示していた通り、この続編の舞台はニューヨーク。
前作と大筋に大差は無く、唐仁と秦風という不出来な叔父と優秀な甥のコンビが、事件の犯人捜しをする7日間を描いている。
コメディ要素とミステリー要素の比率は、前作が7:3だとすると、続編のこれは5:5くらいか。
前作は、往年の香港B級コメディを彷彿させるドタバタが多かったけれど、続編は、くだらない笑いを盛り込みながらも、ミステリー要素を強化したように感じた。
『夏、19歳の肖像』(2005年)の項でも記したように、その映画の原作者でもある日本のミステリー作家・島田荘司は…
本作品の陳思誠監督と交流があり、どうやらこの続編を、アドバイザー的な立場でサポートした様子。
(島田荘司は、陳思誠監督と将来的にコラボする意思を口にしているけれど、『僕はチャイナタウンの名探偵2』の時点では、恐らく本格的に顧問という程の立場ではなく、あくまでも助言するくらいだったのかも…?映画のオープニングやエンディングに正式に“島田荘司”の名がクレジットされていたかも、私は未確認。)
元々陳思誠監督はミステリー好きな人だと見受けるし、島田荘司の協力などを得ながら、ただのコメディには収まらないミステリー映画として観応えのある作品を目指したのかも知れませんね。
舞台をアメリカ・ニューヨークに移した今回、唐仁と秦風は、アメリカ華人・ジェイソンが心臓をえぐられ殺された事件をキッカケに、同一犯による連続殺人事件の謎を解くことになる。
被害者の人種性別、抜き取られた臓器、発生現場や日時がバラバラで、共通点が無いように思える事件だが、マンハッタンに陰陽図を重ね、陰陽五行に照らし合わせながら、事件現場や抜き取られる内臓を解明するという、チャイナ要素を盛り込んだミステリーに仕立てている。
レギュラー出演者は…
お調子者で駄目ダメな中年・唐仁に王寶強(ワン・バオチャン)、唐仁の甥っ子でクリマスター犯罪大師ランキング世界第2位の天才・秦風に劉昊然(リウ・ハオラン)、容疑者から一転、唐仁&秦風コンビと事件を追うことになる宋義に肖央(シャオ・ヤン)。
唐仁&秦風コンビは相変わらず。
165センチの王寶強と185センチの劉昊然は、文字通りの“凸凹コンビ”で、何から何まで対照的。
王寶強は、近年、少林寺で修業した武術の腕を活かしたハードなアクション映画への出演も増えているが、『僕はチャイナタウンの名探偵』シリーズでは、前歯を金歯にして、コテコテのコメディアンに徹している。
扮する唐仁は、綺麗な女性に滅法弱く、前作では、タイのチャイナタウン一の美女・阿香に、続編では、ニューヨーク警察の美人刑事・陳英に夢中になって、玉砕。
もしかして、この先、『僕はチャイナタウンの名探偵』シリーズは、惚れっぽい駄目中年・唐仁が、放浪の旅に出て、行く先々で恋してはフラレる、中国版『男はつらいよ』“フーテンの唐仁さん”的ロードムーヴィになっていくのではないだろうか。
唐仁の甥っ子・秦風は、大学生になり、吃音がちょっと改善された。
演じている劉昊然は、私が前作『僕はチャイナタウンの名探偵』を観た後…
映画『空海 KU-KAI』(2017年)、ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)風雲来る長林軍~瑯琊榜之風起長林』と、出演した大作が立て続けに日本でも公開され、乗りに乗っている若手。
『空海』も『琅琊榜<弐>』もシリアスな作品だけれど、『僕はチャイナタウンの名探偵2』では一転、女装のナース姿も披露しております(←結構可愛い)。
上半身を脱ぐシーンでは、腋を凝視したが、毛はやはり無く、ツルツルだった。
(劉昊然腋毛問題に関しては、こちらを参照。)
肖央は、前作から引き続き起用されている一応“レギュラー出演者”だけれど、同じ役で出演し続ける王寶強や劉昊然とは違い、演じる役が2作品で異なる。
前作で演じていたのは、唐仁のアニキ的存在の刑事・坤泰で、本作品の宋義とは何の関係も無い。
この宋義は、主人公コンビのオマケ程度の立ち位置だと思っていたが、映画を最後まで観たら、実はとても重要な役であった。
脇を固めるキャストもチェック。
まずは、お馴染みのベテラン俳優 from香港。
アメリカ華人社会を牛耳る七叔に曾江(ケネス・ツァン)、
唐仁の師匠で、莫家拳館を運営する武術家・莫友乾に元華(ユン・ワー)。
曾江が演じるのは、アメリカのチャイナタウンの顔役・七叔。
この七叔が、孫を殺した犯人を探し出すために、大会を開催したことで、物語が動き出すので、出番は決して多くはないが、作品のプロローグを担う役と言える。
ちなみに、前作で、タイのチャイナタウンを牛耳っていた閆先生は、台湾の金士傑(ジン・シージエ)が演じていた。
コメディのできるアクションスタア・元華の出番は、曾江以上に少ないけれど、充分笑わせてくれる。
秦風のことをうら若き乙女と思い込み、目を細める演技は、ベタだが、笑える。
このボケ気味の武術家を演じている元華本人は1952年生まれで、実は1935年生まれの曾江より20歳も若い。…と言うか、あの曾江がもう83歳という方が信じられない。お元気ですよねぇー。
女性で印象に残るのは(↓)こちら。
ニューヨーク警察の華人刑事・陳英(ローラ・チェン・イン)に劉承羽(ナターシャ・リウ・ボルディッツォ)、大会に参加するクリマスター犯罪大師世界ランキング第5位のキコに尚語賢(シャン・ユーシエン)。
唐仁の今回のマドンナ・陳英刑事を演じている劉承羽は、イタリア人の父と中国人の母をもつ、オーストラリア出身の女優さん。抜群のルックスに加え、幼い頃から武術をたしなみ、アクションも出来るため、近年頭角を現してきた注目株。
混血にしては目が腫れぼったく、小ざっぱりした顔がミステリアスでクール。
冨永愛に、西洋の血を少し混ぜた感じで、私好みの顔立ち。お綺麗です。
あっ、そうそう、前作で唐仁をトリコにした佟麗婭(トン・リーヤー)扮する阿香も、ゲスト出演程度に登場する。映画のラスト、私生活で佟麗婭の夫である陳思誠監督と揃って登場するというサービスシーン。
この阿香は、今後も唐仁にとっての本命という位置で、シリーズにずっと出てきそうな気がした。
(2017年1月、陳思誠監督の浮気発覚で、夫婦仲危機説が噴出したため、万が一離婚なんてことになったら、阿香はシリーズから消えるかも…?そうならない事を祈りますが。)
余談になるが、前出の日本人ミステリー作家・島田荘司は、佟麗婭のファンみたいで、彼女をモデルにした北京が舞台のショートストーリーを執筆中。
「陳思誠監督が映画化してくれないかな」とラヴコールを送っております。
話を戻して尚語賢。彼女もまた注目の新進女優。
私が過去に尚語賢を見たのは…
いずれもチョイ役で、正直言って、特別印象には残らなかった。
ところが、『僕はチャイナタウンの名探偵2』では、重要な役を与えられ…
普段の尚語賢とは別人に化けて演じている。
ブルーグリーンの髪をツインテールにまとめ、見た目からしてインパクト大。
名前が“KIKO”だし、日本を意識した二次元美少女っぽい雰囲気。
尚語賢でハッとさせられたのは、見た目のインパクトのみならず、英語力も。
『僕はチャイナタウンの名探偵2』で、彼女の台詞は多くが英語で、練習に苦労したと語っているけれど、発音もスピードも、中国育ちの中国人が中国で覚えた英語とは到底信じ難いレベル。
日本の俳優はどんなに頑張っても、なかなかこのレベルにはならないのよねぇ…。
複雑な発音の中国語を喋る中国人は、母音が5ツしかない日本語に慣れた日本人と違い、元々自分の中に微妙な音が沢山ストックされているのでしょうね。
なお、この尚語賢は、今年、間も無く、来日し、東京・中国映画週間の閉幕式に登壇予定。楽しみ。
そして、我々日本の観衆がイヤでも注目してしまうのが、(↓)こちらのキャスト。
妻夫木聡…!
演じているのは、クリマスター犯罪大師世界ランキング第3位の日本人(正確には日中ハーフ)野田昊。
以前当ブログに記したように、陳思誠監督が元々ブッキーのファンだったことから、出演をオファー。
ブッキーは、中国映画市場に詳しくないため、『黒衣の刺客』(2015年)での共演で親しくなった張震(チャン・チェン)に相談したところ、意外にも張震が『僕はチャイナタウンの名探偵』ファンで、
ブッキーに「絶対に出るべき!」と、強力に出演を勧めたのだという。
こうして出演することとなった本作品で、ブッキーは、英語と中国語の台詞に挑戦。
尚語賢ほど上手くはないけれど、頑張っております。
扮する野田昊は、お金に困っていないため、500万ドルの高額賞金にも無関心で、物語前半の内に、サッサと帰国してしまうが、かなり印象に残る役である。
特に、ナルシスト設定の野田昊の自撮り画像には、笑った。
ちなみに、役名・野田昊の“昊”は、日本ではあまり名前に使わない漢字。
中国だと、本作品の主演俳優・劉昊然(リウ・ハオラン)とか、秦昊(チン・ハオ)とか、有名人でもこの字を使った名前の人がボチボチ居るけれど。
日本語では、確か“のだ・ひろし”と自己紹介していた。でもね…
何度か画面に、“野田ハオ”という表記も出るのヨ。
こういう粗い仕事は、案外嫌いじゃない。
こういう粗い仕事は、案外嫌いじゃない。
他にも、王迅(ワン・シュン)、楊金賜(ヤン・ジンツー)、白靈(バイ・リン)等々顔だけでもキョーレツな印象を残すクセ者たちが多数出演。
映画のラストは、前作と同じように、出演者たちがニューヨークの街で、ノリノリの曲に合わせ、賑やかに歌って踊るという賀歲片(お正月映画)らしい幕締め。
<Happy 扭腰>という曲で、歌っているのは、前作の<薩瓦迪卡>と同じ、大陸の3人組ユニット・南征北戰 NZBZ。
ブッキーもノリノリで踊っております。日本ではなかなかお目に掛かれない弾けたブッキー。
(日本人のブッキーは、動きが心なしか、志村けんっぽい。)
前作同様、非常にクダラない映画で、良いのか悪いのか、私にはもう判断が付かないのだけれど(笑)、何も考えずに観るにはよろしい。
それに、今回はブッキーが出演しているので、日本人は評価が3割増しになるのでは。
実際、上映会場では、ブッキーが登場する度に、ザワメキや笑いが起き、反応が良かった。
前述のように、ブッキー扮する野田昊は、物語前半で帰国してしまうのだが、ラストにもう一度登場し、シリーズ第3弾の舞台が東京であることを匂わせる。
一作目を観た時の感想に、私は、「チャイナタウンは世界中あちらこちらに有るので、シリーズ化できそう。陳思誠監督、3作目は横浜中華街でいかがですか?」と記したが、早くもそれが現実に。
『僕はチャイナタウンの名探偵3』は、2020年1月の公開が予定されており、妻夫木聡も続投予定。
日本が舞台なら、他の日本人俳優にも出演の可能性あり…?
恐らく、第3弾も、前2作と基本的には同じで、東京で起きた事件を解決する7日間が描かれ、唐仁はまた新たなマドンナに恋をして、一週間後に玉砕していることでしょう。
第2弾では明かされなかったクリマスター犯罪大師ランキング世界首位の“Q”なる謎の人物も、その内判明するのか…?
シリーズを3本まとめて、日本で正式上映してくれると良いですねー。
あと、第3弾の東京編では叶わないかも知れないけれど、陳思誠監督にとって張震は、ずっと一緒に仕事がしたいと思っている俳優で、その張震がブッキーに第2弾に出演するよう背中を押し、間接的に協力してくれたことを喜んでいるし、何より、当の張震が『僕はチャイナタウンの名探偵』ファンと言っているのだから、相思相愛で、その内、出演してくれないかしら…。
張震が出たら、『チャイナタウンの名探偵』が一気に高級な映画になりそう。
◆シリーズ第1弾、『僕はチャイナタウンの名探偵』をリンク。