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2020年02月13日

【働き方】『なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか』松井 博


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なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「ビジネス書フェア」の中でも人気の働き方本。

アップル本社で7年間の勤務経験のある松井 博さんが、日米の働き方を比較したうえで、さまざまなアドバイスをなさっています。

アマゾンの内容紹介から。
「ラクにする工夫」を考えよう!それでもダメなら「ヤメる勇気」が役に立つ。「日本のムダ」に潰されないための、自分らしい生き方を伝授。米アップルのマネジャーとして生き抜いた著者の答え!

なお、送料を加えた中古よりは、Kindle版が300円以上お買い得です!






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【ポイント】

■1.日本の衰退の原因は、会社が社員を信用しないから
 なぜ日本の会社は社員の時間を尊重しないのでしょうか? これはおそらく、会社側が社員を全く信用していないからです。社員は隙あらば怠けると考えるからこそ、時間で拘束しなければならないという発想になるのです。(中略)
 僕は、この社員を信用しない日本の企業文化が、平成になって日本企業が衰退してしまった原因の1つではないかと考えています。日本企業が急降下をたどり出したのは、今までの労働集約型のスタイルでは通用しなくなった頃からです。
 みんなが同じ時間に会社にやってきて、一緒に何かを組み立てていた時代ならば、これまでの日本企業のやり方でよかったのです。たくさんの工員がいれば怠ける人も少なからずいたでしょう。ですから同じ時間に来させて、同じ服装をさせて、休みの日も拘束して労働させることには合理性があったのです。また、運動会や社員旅行をやって連帯感を高めるのも効果があったのでしょう。
 でも、現代の労働に求められるのは、新しいビジネスアイデアを考えるとか、優れたソフトウェアを開発するなどといった、高い創造性が要求される仕事です。そして、そういった労働になると、長時間の拘束は生産性や創造性の向上を意味しないのです。


■2.AI時代に人間のやる2つの仕事
 今後は好むと好まざるとにかかわらず、今ある仕事の大半はAIに置き換わるか、AIをうまく使いながら進めるようになると思うのです。そして人間のやる仕事は、基本的に次の2つに絞られると思います。1つは人間にしかできない仕事で、もう1つはAIがうまく仕事をしてくれるよう、AIをチューニングする仕事です。
 では、人間にしかできない仕事とは何でしょうか?
 それは、ドラマを作り出すことです。(中略)
 一方の、AIをチューニングするとはどういうことなのでしょうか?
 こちらは、イメージとしてはポケモン・トレーナーです。ポケモンは、人間の代わりに戦ってくれます。そして人間の役目は、ポケモンをトレーニングすることです。僕がイメージする人間とAIの関係は、ちょうどトレーナーとポケモンのような関係です。人間はAIをトレーニングして、AIにお金を稼いでもらうようになるのです。


■3.サイコロを振り続ける
 そこでまず、運というものの性質を考えてみましょう。運というのはまさしく「運」なので、サイコロを振るのと全く一緒です。吉と出ることもあれば、凶と出ることもあります。吉が続くこともあれば、凶が続くこともあります。全くランダムで、コントロールすることはできません。
 僕らがコントロールできるのは、サイコロを振る回数だけです。サイコロを全く振らなければそれなりに安定した一生を過ごせるのかもしれませんが、そうすると都合のいい偶然が起きてくれる可能性は基本的にありません。凶が出る偶然に怯えつつ、サイコロを振り続けるしかないのです。そしていい目が出たらそれに飛び乗っていく勇気が必要です。
 成功する人とそうでない人の違いは、この「サイコロを振り続ける勇気」があるかどうかと、いい目が出た時にそれに飛びつく勇気があるかどうかだけです。
 もしも大成功したいと思っているのなら、ぜひサイコロを振り続けてみてください。


■4.「今」を生きる
「今」を生きてない人の劣化の激しさはヤバいです。武勇伝を語っている場合じゃないのです。
 1年ほど前に高校時代の部活仲間たちに会ったのですが、話すことが思い出話くらいしかなくて、会ったこと自体をかなり後悔しました。
 ところが、1人だけ話が弾んだ先輩がいました。その人は今横浜で「ラーメン246亭」というラーメン屋さんを経営していて、なんと毎週毎週、ラーメンの新作を販売するというチャレンジングな生活を続けています。少年のように目をキラキラさせて熱く語る姿に、かなり強い刺激を受けました。それ以来、日本に行くたびにお店の方にお邪魔させてもらっています。
 別に社会的に大成功していなくても、大金持ちになっていなくてもいいのです。平々凡々でオッケーです。そして「今」の対象は、趣味でも仕事でも何でもいいと思います。自分なりに新しいことにチャレンジし続け、常に自分の「今」を生きる。これが、もっとも有効なおっさん化対策です。
 

■5.子には「決定」と「責任」を与える
 もしも親がずっと子供からこの「決定」と「責任」を奪い続けると、一体どんなふうになるのか考えてみましょう。
 例えば子供が、牛乳が欲しいと言った時に、「寒い日だから」と温めた牛乳を渡すとします。これは一見親切なようですが、どのくらいの温度が適温なのかという判断を親が代行しているわけです。(中略)
 これを繰り返していくと、そもそも自分が何を欲していて、その結果、どのような責任が発生するのかを体験する機会が丸ごと奪われます。そして物事がうまくいかなかった時には、「忖度が十分でなかった親」に責任を押し付けることを覚えていくのです。
 幸いなことに、大抵の子供は思春期に大爆発して、親の方もそこで我に返ります。そして数年間メチャクチャやったあと、親子共々自立していきます。こう考えてみると、反抗期も必要なプロセスなのかもしれません。


【感想】

◆冒頭で「働き方本」と申し上げましたし、タイトルにも「働き方」と入ってはいますが、もうちょっと広範囲なテーマをカバーした作品でした。

とはいえ、初っ端の第1章では、上記ポイントの1番目にもあるように、日米の違いを指摘した上で、その結果としての日本全体の衰退に言及。

松井さんのいらしたアップルでは、90年代からリモートワークが認められていたそうですが、日本ではまだまだです。

もっともつい最近、新型コロナウィルスの関係で、GMOが4000人もの社員の在宅勤務を指示したりしていますが、これはレアケースでしょう。

また、収録されているものの今回は割愛した「裁量労働制」も、現在の日本の法体制では問題が多そうな(詳細は本書を)。

さらには、もう1つの日本企業の衰退の原因と指摘している、「集団による意思決定」というのも、そう簡単には変わらなそうです。

ただ、日本企業で勢いのあるユニクロやソフトバンクは、確かに強烈なトップにけん引されているのも事実なんですよね……。


◆そこで第2章では、転職に関する松井さんの考えが披露されています。

「あまり何も考えずに適職に就くための6つのヒント」なるものも掲載されていますから、気になる方はチェックしてみてください。

ただし上記ポイントの2番目にあるように、今後の仕事の大半はAIを無視できなくなる模様。

ちなみにここでいうところの「ドラマ」として、松井さんはこんまりさんの「片付け」を挙げています。

一方、「AIのチューニング」の具体例とは、Googleの表示順位やアマゾンのお勧め等々。

松井さんは、ボナンザの作者である山本一成さんの言葉として「子供は親が理解できないことを仕事にするべき」と言われているのですが、確かに世界はそういう方向に向かっているのかもしれません。


◆さて、続く第3章では「働き方」からやや離れて、成功法則等の自己啓発的テイストが強くなってきます。

上記ポイントの3番目の「サイコロ」のお話は、まさに「成功の秘訣」そのもの。

ただしサイコロを振り続けていると、一定の確率でひどい目にあったりすることがあります。

その場合は、「損切りしてとっとと逃げ出せ」とのこと。

ところが本書でも指摘されているように、「いつかは好転するかも」とぐずぐずして時間が経ってしまうと、サンクコスト効果(本書では「コンコルド効果」と言われています)で、身動きとれなくなってしまうという……。

また、この第3章では、かつてうつ病になやまされた松井さんが、「いかにそこから回復できたか」についても触れられていますので、興味のある方はご確認ください。


◆一方、第4章は「『おっさん化』を遅らせる方法」と題されており、その最初で有効と思われる対策が5つ挙げられています。

上記ポイントの4番目はその1つなのですが、私が数年前に社会人時代の飲み会に参加した際には、確かに皆さん「思い出話」に花を咲かせていました(そういう趣旨で集まってるようなものですし)。

もっとも私くらいの世代になると、最近のことと言ったら、「子育て」とか「健康」くらいしかテーマがないんですけどねw

また「子育て」に関連して、この第4章からは上記ポイントの5番目も抜き出したのですが、この親が子の「決定」と「責任」を奪い続ける、というのは、日本ではよく見るもの。

我が家でも覚えがあるので、注意しなくては!

ただ、この章で言われていた「日本人男性は、なぜアメリカでモテないのか?」というのは、この本によると日本人うんぬん以前に「アジア人男性自体が低評価」であることを、松井さんには知っていただきたいところです(もちろん日本人男性特有の問題は認めますが)。

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ビッグデータの残酷な現実

参考記事:【出会い系?】『ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実』クリスチャン・ラダー(2016年08月08日)


◆なお、最後の第5章は「生きにくさを軽くするライフハック」と題して、まさにライフハックが6つ挙げられていました。

どれも興味深かったので、逆にネタバレしたくなくて丸ごと割愛したのですが、「スマホから時間を取り戻すための10のヒント」というのは、これからムスコにスマホを与える我が家としては非常に参考になりました。

また「12のストレス解消法」というのも、可能なものは取り入れていきたいと思います。

ただし「なるべく若いうちに身につけておきたい10のライフスキル」というのは、当たり前ですが私には完全に手遅れでしたが(涙目)。

さらに本書の巻末の「おわりに」の最後では、非常に重要なことが述べられていますから、必ず終わりまで読んでいただきたく。


働き方や生き方を学べる1冊!

B07Y4XXH7J
なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか
Chapter1/なぜ日本企業は、人の時間を大切にしないのか?
Chapter2/転職をマジで検討しているあなたへ
Chapter3/人生ハードモードの方が、むしろ生きてる証
Chapter4/「おっさん化」を遅らせる方法
Chapter5/生きにくさを軽くするライフハック


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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お金は銀行に預けるな~金融リテラシーの基本と実践~ (光文社新書)

勝間さんの初期の代表作は、「61%OFF」ということで、送料を足した中古よりはKindle版がお買い得。

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太い腕と厚い胸板をつくる至高の筋トレ

結構ガチそうな筋トレ本は、中古がほとんど定価並みのお値段なこともあり、Kindle版が1200円以上、お得な計算です。


【編集後記2】

◆昨日の「ビジネス書フェア」残り分の記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書 (扶桑社BOOKS)

参考記事:【オススメw】『世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書』林 雄司(2014年04月12日)

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図解入門ビジネス 最新コーチングの手法と実践がよーくわかる本[第3版]

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やりたいことがさくっと実現する インバスケット的「根回し」仕事術

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プレゼンの極意はマンガに学べ

宜しければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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