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槇原敬之さん逮捕で露呈…劣化する「マスコミの罪」

「ダメ。ゼッタイ」ではダメ!

2020年2月13日、槇原敬之さんが覚せい剤所持の疑いで逮捕されたと報道された。

メディアではいっせいに速報が打たれ、SNSなどでも「驚いた!」などというコメントが多く見られたが、槇原さんが薬物依存症だとすれば特に驚くことではない。

認否が明らかにされていないので推測でしかないが、事実だとすれば病気が再発したまでのことである。

メディアのみなさんは今度こそバッシングではなく、「病気」の側面を鑑みて冷静な対応を心がけていただきたい。

 

バッシングではなく治療を

今回の逮捕は槇原さんが2018年4月に覚せい剤を0.083グラムと危険ドラッグに指定されている「ラッシュ」を所持していたとのこと。

なぜ2018年の所持容疑で今頃逮捕されたのか詳細は不明だが、薬物事犯に対するバッシングは近年非常に激しくなっている。

ましてや槇原さんは1999年にも覚せい剤の所持で逮捕された過去があり、世間の風当たりについては身を持って知っていたはずだが、それにもかかわらず覚せい剤を所持していたとなれば、バッシングなど再犯防止策としてはなんの効果もないことを示している。

実際にこうして薬物事犯に対し、毎度毎度芸能界は大騒ぎをしているが、逮捕者は後をたたないのが現実である。

そして芸能人の薬物問題が露呈すると「芸能界は甘い」「甘えている」などと的はずれなことを言いだすタレント・コメンテーターがいるが、槇原さんのようなヒット曲を連発し第一線で活躍し続けるアーティストが、甘ちゃんの快楽主義者のはずがなく、むしろ責任感が強く、弱音が吐けず、自分を追い込みすぎて覚せい剤を使ってしまった可能性の方が高い。そのことは同じ芸能人が一番良く分かっているはずである。

「甘い」「ダメ人間」と一番責めているのはおそらく槇原さんご自身であり、それこそが依存症が「否認の病」といわれるゆえんである。

「止めよう」「止めなくてはならない」と頭でわかっているからこそ「病気」とは思えず、意志の弱さだと信じてしまうのであって、本当に再発防止を願うのであれば「甘い」「弱い」「たるんでいる」というバッシングをやめ、「意志が弱いのではない」「意志の力ではやめられない」「治療を受けよう」という報道を増やしてほしい。

そして槇原さんの周辺にいるスタッフの方々はぜひとも薬物治療の第一人者である、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生の治療へとつなげていただきたい。