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【社説】

秋元議員とIR 国会で真相を究明せよ

 カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡る汚職事件で起訴された秋元司衆院議員が会見し、起訴内容を全面否認した。IRを巡り何があったのか。司法とは別に国会が自ら真相究明すべきだ。

 秋元被告は日本でのIR事業への参入を目指していた中国企業「500ドットコム」側から、計約七百六十万円相当の賄賂を受け取ったとして収賄罪で起訴された。

 昨年十二月二十五日、東京地検特捜部に逮捕、今月十二日に保釈された秋元被告が公の場に姿を現すのは、きのうの記者会見が初めて。被告は「賄賂の受け取りは一切ない」と無実を訴えた。

 起訴内容の当否は司法の場で判断すべき問題ではある。同時に秋元被告は現職の国会議員であり、IR担当の副大臣も務めていた。

 安倍政権は二〇一六年十二月、刑法が賭博として禁じていたカジノを合法化するためにIR整備推進法案の審議を強引に進め、成立させた。そのとき法案を審議した衆院内閣委員会で委員長を務めていたのが秋元被告である。

 カジノやIRを巡っては当時から、そもそもカジノを合法化していいのか▽ギャンブル依存症の人がさらに増えるのではないか▽本当に経済効果が見込めるのか、などの懸念や疑問が出ていた。

 秋元被告が賄賂を受け取ったとされる前だが、法案審議が正しく行われたのか。汚職事件を機に国会が自ら検証する必要がある。

 賄賂を受け取ったとされるのはIR担当の副大臣だった時期が含まれる。行政監視や国政の調査は国会の役割だ。

 野党側は秋元被告の証人喚問を求めている。真相究明に与党も野党もない。自民党も後ろめたさがないのなら、秋元被告の喚問要求に進んで応じたらどうか。

 IR汚職事件では、秋元被告以外にも国会議員五人が、ドットコム社側からそれぞれ現金百万円を受け取り、別の一人が秋元被告の中国旅行に同行し、東京地検特捜部に事情聴取されている。

 職務権限がないとして立件は見送られたが、国民を代表する国会議員として、国会の場で説明する責任があるのではないか。

 証人や参考人で国会に呼ばれたら拒むべきでないし、疑惑を晴らしたいのなら政治倫理審査会に自ら出席し、説明を尽くせばいい。

 公職選挙法違反の疑いがありながら、十分な説明もなく活動を続ける議員もいる。国会は国権の最高機関として放置していいのか。自浄能力が試されている。

 

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