テスラのマスクCEOはこれまで増資には否定的な考えを示していた=AP
【シリコンバレー=白石武志】米電気自動車(EV)メーカーのテスラは13日、公募増資によって最大23億ドル(約2500億円)を調達すると発表した。このうち、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が最大1000万ドル分を購入するという。調達した資金は負債の削減による貸借対照表(バランスシート)の改善や、一般的な事業目的に使うとしている。
テスラ株は市場の赤字予想を覆して3四半期ぶりの黒字を達成した2019年10月の決算発表以降、約3倍に上昇している。マスク氏は将来の設備投資などに必要な資金は事業活動を通じて創出できるとしてこれまで増資に否定的な考えを示してきたが、異例の株高を資金調達の好機とみて方針を転換させた格好だ。
テスラは19年12月末時点で約134億ドルの未払い債務を抱えており、今回調達する資金を借入金の返済などに充てるとみられる。19年末に本格稼働を始めた中国・上海の新工場での設備投資が続いているほか、21年には独ベルリン郊外でも欧州初となる完成車工場を稼働させる計画を掲げており、資金需要は高いとみられていた。
テスラは直近では19年5月に新株予約権付社債(転換社債=CB)と新株発行を組み合わせて最大27億ドルを調達すると発表している。当時は資金繰りへの不安から株価は低迷していたが、マスク氏は自らの引受額を当初予定よりも倍増させるなどして将来の成長への自信を示した。この際に調達した資金は上海新工場の建設費用などに充てられたもようだ。