NEWS / HEADLINE - 2020.2.13

絵画の世界に入り込む体験型のアート鑑賞。寺田倉庫G1で「Immersive Museum」が開催

プロジェクションマッピングを使用し、名画の世界を室内空間全体に投影するアート体験プログラム「Immersive Museum」が、2020年4月17日より東京・天王洲の寺田倉庫G1で開催される。第一弾のテーマは「印象派」。モネ、ドガ、ルノワールといった作家の、誰もが知る名画の世界が再現される。

「Immersive Museum」展示イメージ

 プロジェクションマッピングにより、絵画の世界に没入できる体験型のプログラム「Immersive Museum」が、2020年4月17日より寺田倉庫G1ビルにて開催される。主催はImmersive Museum実行委員会、主管・企画制作には株式会社ドリルと株式会社電通が名を連ねる。

 展示のテーマは「印象派」。クロード・モネ、エドガー・ドガ、ピエール=オーギュスト・ルノワールといった印象派の作家の世界観を映像化し、プロジェクションマッピングにより壁、床、天井など空間内に投影。鑑賞者が絵画のなかに足を踏み入れ、自らが画家自身になったような視覚体験を、音楽とともに提供するという。 

「Immersive Museum」展示イメージ

 コンテンツプランナーを務める西田淳は、本プロジェクトの企画意図について次のように語った。「海外から名画が来ても、混雑のなかで一瞬しか見られず、体験として問題があると感じていた。絵画を鑑賞するのではなく、作品世界に没入するという新たな体験を提案したいと考え、海外の体験型作品の事例も参照しつつ、完全新作として制作した」。

西田淳

 また、西田はテーマとして印象派を選んだ理由を以下のように語る。「印象派は19世紀にイノベーターとして新しい美術体験を生み出した。その志を、2020年の方法で日本から発信していきたい」

 なお、作家や作品の選定を始めとする監修は、早稲田大学教授の美術史学者・坂上桂子が務めている。

 東京・お台場の「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM:teamLab Borderless」に代表されるように、体感型のアート施設が動員を集める東京。「Immersive Museum」がどのような存在感を示せるか、注目を集めそうだ。

「Immersive Museum」展示イメージ
NEWS / HEADLINE - 2020.2.14

ビニール袋をアートに変える。タイムズスクエアに登場するインスタレーション《Plastic Bag Store》とは?

ブルックリンを拠点に活動するアーティスト、ロビン・フロハルトによるアート・インスタレーション《Plastic Bag Store》が、3月18日〜4月12日に「世界の交差点」とも言われるニューヨークのタイムズ・スクエアで公開される。ポップアップの食料品店である本作では、惣菜から掃除用品まで、何千もの使い捨てビニール袋を使って手づくりした食料・日用品が発表される。

ロビン・フロハルト《Plastic Bag Store》の一部 Photo by Maria Baranova-Suzuki. Courtesy of Times Square Arts

 「世界の交差点」であり消費主義の中心と言われるニューヨークのタイムズ・スクエア。ここに、大量生産や消費主義を批判するパブリックなインスタレーション《Plastic Bag Store》が登場する。

ロビン・フロハルト Photo by Maria Baranova-Suzuki. Courtesy of Times Square Arts

 本作は、ブルックリンを拠点に活動するアーティスト、ロビン・フロハルトによる没入型のサイトスペシフィックな作品。ニューヨーク市が今年の3月から実施するビニール袋の使用禁止法案に合わせて制作されたものだ。フロハルトは、ごく普通の食料品店にあるような、アイスクリームや惣菜、掃除用品までを、何千もの使い捨てビニール袋を使用して再現。スーパーマーケット同様にこれらを陳列し、鑑賞者はショッピングするかのように作品を見ることができる。

ロビン・フロハルト《Plastic Bag Store》の一部 Photo by Robin Frohardt. Courtesy of Times Square Arts
ロビン・フロハルト《Plastic Bag Store》の一部 Photo by Robin Frohardt. Courtesy of Times Square Arts

 このスーパーは、夜になるとフロハルト制作のオリジナルの演劇と人形劇の舞台になる。フレディ・プライスのオリジナル・ミュージックとともに、ポメグラネイト・アーツがプロデュースしたこの人形劇は、人間が残していく大量のプラスチック廃棄物が、未来の世代によってどのように誤解されるかを提示するものだという。

ロビン・フロハルトによる人形劇 Photo by Robin Frohardt. Courtesy of Times Square Arts

 同作についてフロハルトはこうコメントしている。「《Plastic Bag Store》は視覚的に豊かで触感があるユーモラスな体験であり、プラスチックの永遠性、使い捨ての永続性、そして何かを捨てることに対する異なる考え方の可能性を探り、奨励するもの。資本主義の落とし穴には素晴らしいユーモアがあり、私はユーモアと風刺が社会批判の強力なツールになりうると思っている。とくに、悲しみ、圧倒されて直接立ち向かうことができないような問題に対しては」。

 2015年、国連は2030年までに達成すべき国際社会共通の目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」を制定。各国政府は、貧困や飢餓、保健、気候変動など17の課題をめぐる目標を立て、行動計画や予算を設定している。

アイス・ウォッチ オラファー・エリアソンとミニック・ロージング テート・モダン外のバンクサイドでの展示風景 2018 Supported by Bloomberg Photo by Justin Sutcliffe © 2018 Olafur Eliasson

 SDGsについては、アート界でも様々な動きが始まっている。筆頭として挙げられるオラファー・エリアソンは2014年〜18年、コペンハーゲン、パリ、ロンドンで解けてゆく氷の塊の屋外インスタレーション「アイス・ウォッチ」シリーズを展示。加えて、過去20年間の氷河の大きな変化を示す作品の制作や二酸化炭素排出量の削減など、様々な側面で環境に配慮している。

 今回のロビン・フロハルトやオラファー・エリアソンの例にあるように、アート界においてもSDGsは重要なテーマとなりつつある。こうした世界の動向にぜひ注目してほしい。