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【政治】

首相やじ またも

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 安倍晋三首相が国会で野党議員に「意味のない質問だ」とやじを飛ばした問題は、首相自身の陳謝で収束する方向となった。首相のやじによる国会の紛糾は今回が初めてではなく、発言に関する陳謝も再三繰り返してきた。言動が改まらない一因として、長期政権のおごりや議会軽視の姿勢を指摘する意見も出ている。 (清水俊介)

 首相のやじに対しては、十三日に与党幹部からも注文が相次いだ。公明党の北側一雄副代表は記者会見で「お互いに節度を持った発言をしてほしい。政府側は挑発にあまり乗らないで冷静に対応してもらいたい」と苦言を呈した。自民党の伊吹文明元衆院議長は二階派の会合で「一国の宰相なので(野党と)同じレベルに降りて、むきにならない方がいい」といさめた。

 首相のやじは過去の国会審議でも問題化した。昨年十一月の衆院予算委では、加計学園の獣医学部新設を巡り、官邸幹部の関与がうかがわれる文書の作成者について野党議員が質問すると、首相は「あなたじゃないの」と発言した。野党側が「侮辱だ」と反発すると「座席から言葉を発したことは申し訳なかった」と陳謝した。

 二〇一五年五月には安全保障関連法案に関する特別委員会で、野党議員に「早く質問しろよ」と声を上げ審議が中断。首相は「言葉が過ぎたとすれば、おわび申し上げたい」と述べた。

 昨年十月の参院本会議では、首相に近い自民党の世耕弘成参院幹事長が「安倍政権に否定的な立場の方は『首相答弁の居丈高な態度が気にくわない』といった理由を挙げる。謙虚で丁寧な対応に徹してほしい」と求めた。首相は「野党からも謙虚で丁寧な首相だと言ってもらえるよう努力を重ねる」と答えたが、今回も挑発的言動を繰り返した。

 法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)は「行政府の長である首相は立法府である国会で多くの批判に答え、説明する責任がある。首相のやじは説明責任を放棄し、言論を封殺するようなもの。『一強多弱』の政治状況で、長期政権のおごりが出ている」と指摘した。

 

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