記者会見する加藤厚労相(13日、厚労省)
厚生労働省は13日、同日死亡した神奈川県の80代女性が新型コロナウイルスに感染していたことが確認されたと明らかにした。新型肺炎による国内での死者は初めて。女性は日本国籍で、渡航歴はなかった。加藤勝信厚労相は13日夜に記者会見し「今後早急に情報を収集し、専門家と相談した上で、必要な対策を検討する」と述べた。
厚労省によると、神奈川県の女性は1月22日に倦怠(けんたい)感が始まり、25日に悪化。28日に医療機関を受診したが経過観察となった。2月1日に肺炎の診断を受けて入院。12日にウイルス検査を実施したが、13日に亡くなった。その後、ウイルス検査で陽性が確認されたという。
新型肺炎と死亡との因果関係も含め、詳しい死因などは調査中という。加藤厚労相は、死亡した女性に渡航歴がないことから「国内で感染した可能性を踏まえ、疫学的調査をする」と述べた。
一方、和歌山県は13日、県内に住む50代の男性医師が新型コロナウイルスに感染したと発表した。肺炎を発症し入院しているが、容体は安定しているという。発病前14日間の海外渡航歴はなく、中国から来た人との明らかな接触も確認できていない。県は「国内で感染した可能性が高い」とみている。
県によると、男性医師は済生会有田病院(同県湯浅町)に勤務。病院は新規患者の受け入れを停止した。他にも同病院の男性医師1人と、病院を受診した男性2人に感染の疑いがあるという。
男性医師は1月31日に発熱し、2月7日まで微熱が続いた。3~5日には解熱剤を飲みながら勤務したという。8日には38度まで熱が上がり、コンピューター断層撮影装置(CT)撮影で肺炎の症状が見られた。10日から入院し、13日の検体検査で新型コロナウイルスの陽性が判明した。
東京都内のタクシー運転手の70代男性の感染も確認された。入院中だが症状は重くないという。男性は1月29日に発熱の症状が表れ、2月6日に入院した。ウイルス検査の結果、陽性が判明した。千葉県も同県内の20代男性の感染が確認されたと発表した。