「なんか部屋の窓が赤一色に染まっていた」と、ある住民は語っていた。そして彼が扉を開けると、そこには天井にまで届く炎が立っていたのだ。僕はすぐに消化器を探した……だが眼鏡を外していたので見つからなかった。その間わずか数秒のことだったと思う。ものすごい轟音をたてて燃え上がる炎を茫然と見つめていた。あ、これ、シェアハウス終わったな。あまりの炎の勢いについそう思ってしまったのだ。だが冷静になってみるとどうやら鍋を加熱調理をしているところのようだったので、急いで火を消して事なきを得た。どんなタイプのトラブルにおいてもそうだが、自分が対処できるタイミングで起こって本当によかったと思った。とりあえず改めて消化器の場所を確認して、すぐに誰にでも取り出せる場所に置き直した。いま僕に思いつく対策はこんなものだが、他にもなにかあれば教えてほしい。そういえば、うちのシェアハウスは幾度かの火災にまつわるトラブルを経験してきたわけだが、そのうちいくつかを紹介しようと思う。まず最初に僕がやらかした。あれはまだ入居二日目のことだったが、僕はヒーターのまえで毛布にくるまって寝ており、毛布が燃え上がったそうだ。「ヒズミ!燃えてる!燃えてる!」と、同居人の必死の消化活動によりことなきを得たが、僕は熟睡していたので覚えていない。そんな僕がいま使っている毛布にはそのとき空いた穴があり、入居早々同居人を焼死の危険にあわせてしまった戒めとなっている。その次に起こったのが最初のサークルクラッシュのときで、某男性ツイッタラーに浮気された女性がシェアハウスを燃やそうとした。僕は必死で頭を下げて謝り続けることでことなきを得た。やはり誠意に勝るものはない。その次にやってきたのが地下室における放火ブームで、きっかけはとあるコミュ障の同居人が他人と会話の間をもたせるために地下室に可燃料を撒いて物を燃やし始めたことだった。なにかと刺激に飢えている周囲の人間はすぐにそれを真似し始めた。みなさんも一度は目にしたことがあるかもしれない、地下室の床に炎で魔法陣を描く動画を。その数ヶ月後に某同居人が家の中に落ちていた服を燃やしたこともあった。理由はわからないのだが。とにかく不注意による火災の危険もつねに付き纏う一方で、なにかと事あるごとに放火したがる人間もまわりに何人かいるようで怖いです。それはそうとして、自分が手塩にかけて育てたシェアハウスが無惨に燃え落ちるところが見てみたいとも思っている。やっぱり家が燃えている光景にはコンテンツ性があると思うので……。(※ソースはハガレン)