『かくしごと』が4月にTVアニメ化(kakushigoto-anime.com)されることになり、キャラクタービジュアルやPVも続々公開されています。
元々、原作漫画(www.gmaga.co)が実在の場所を舞台にしているため(主人公の自宅のある中目黒周辺と、倉庫のある鎌倉)、いわゆる「聖地」が数多く存在するのですが、この機会にまとめてみました。 主人公・後藤可久士の自宅のある中目黒周辺は作中でもっとも頻繁に描かれています。コミック第1巻では70~71ページに見開きで「ざっくり舞台MAP」が掲載されており、道路の曲がり具合や建物形状などは実在のものに近いため、1巻を片手に中目黒、代官山周辺を歩いてみると面白いです。 その中でももっとも主要な場所と言えるのが旧山手通りの「都立第一商高」交差点。ここは可久士がスーツから私服に着替える古着屋(マリオの店)があるところで、作中では第1話冒頭から何度も描かれているほか、アニメの後藤可久士キャラクタービジュアル(kakushigoto-anime.com)の背景にもなった場所です。 作中でここは目黒区と渋谷区の区境とされていますが、実際にこの交差点も区境になっています。そして、交差点の角には黒い2階建ての店舗がありますが、その位置と外観からマリオの店(マリオネットランチマーケット)のモデルと思われます。これも作中でたびたび登場しており、後藤可久士キャラクターPV ※ちなみに、この店舗「FREECITY」の公式サイト(www.freecityjapan.com)によると、2013年にオープンしたものの2020年5月31日に閉店してしまうとのことです。建物自体の存続可否は不明です。 「都立第一商高」交差点から東側に目視できる距離に代官山 蔦屋書店(store.tsite.jp)があります。ここも作中に何度が登場していますが、コミック第1巻「たずねびと」で描かれたカットを意識して撮ってみました。 後述する鎌倉では江ノ電の駅や車両がたびたび登場するのとは対照的に、自宅や仕事場で鉄道が登場するシーンは多くありません。可久士の移動手段は主に徒歩で、たまにタクシーに乗るくらいでしょうか。しかし G-PRO のアシスタントたちはさすがに列車通勤のようで、コミック第5巻「かってに白コマ」では亜美が代官山駅から東横線で帰宅する様子が描かれています。 作中で「中目黒商店街」の看板のある商店街は、中目黒駅の南側にある目黒銀座商店街がモデルではないかと思います。近日中に訪問予定なのでその際に写真を追加します。 後藤家の倉庫があるのは江ノ島電鉄の七里ヶ浜駅近くで、作中ではたびたび江ノ電の車両や駅が登場します。 江ノ電では現在6種類の車両が活躍していますが、作中ではもっとも古い300形が描かれることがほとんどです[1]。久米田先生のお気に入りの車両なのかもしれませんが、もっとも「江ノ電らしい」車両なので、鉄道に詳しくない読者でも江ノ電であることが認識しやすいように、記号的な意味で選定されている可能性も考えられます。 この300形は徐々に新型車両に置き換えられてしまい、現在では 305-355 の1編成のみが残っている状況なので、遭遇するには長い時間待たなくてはいけなかったり、運が悪いと車庫でお休みという可能性もあったりするので注意が必要です。 後藤家の倉庫の最寄り駅は七里ヶ浜駅。原作漫画ではコミックのカラーページを中心に何度も登場するほか、2016年のコミック第1巻発売時に制作されたシャフト制作のPV(現在は公開停止)でも描かれました。 鎌倉の倉庫はコミック第1巻冒頭のカラーページで 駅から藤沢方面に歩き、一つ目の小さな踏切を渡った先の小道は作中で何度か描かれている風景と似ており、とくに第6巻のカラーページにはそっくりな光景が描かれているのでここで間違いないでしょう。後藤姫キャラクターPV 単行本のカラーページの時系列では可久士が入院していることになっていますが、最新の第10巻では入院先が東京女子医科大学病院(www.twmu.ac.jp)であることが判明しました。 ※病院外観の写真はWikimedia Commons で公開されている写真(commons.wikimedia.org)をライセンスに則り転載しています(トリミング、明るさ補正の加工済み)。 コミック第1巻 p.73 の扉絵、および第3巻の表紙に描かれた灯台は三浦半島にある観音埼灯台(www.tokokai.org)です。 久米田先生の Twitter アカウント 単行本のカラーページでは十丸院と羅砂が2人で鎌倉近辺を巡っていますが、第7巻~第9巻では神奈川県立近代美術館の葉山館(www.moma.pref.kanagawa.jp)を散策しています。 ※なお、葉山館は2020年1月~6月の間、改修工事のため展示休止(www.moma.pref.kanagawa.jp)となっているようです。野外の散策路や彫刻は通常どおり見られるとあるので、聖地巡礼目的なら影響は少ないと思いますが、それも日によっては閉鎖される場合があるとのことなので、訪問の際はご注意ください。 コミック第3巻 p.113 の扉絵は、瀬戸内海をバックに風光明媚な景色が見られる駅として有名な下灘駅(愛媛県)と思われます。 ※下灘駅の写真はWikimedia Commons で公開されている写真(commons.wikimedia.org)をライセンスに則り転載しています。 第9巻では可久士と姫が熊本出身の漫画家の家を訪問しますが、「役職のネバーランド」では湯前まんが美術館(yunomae-manga.com)が描かれます。 美術館のある湯前町では2015年11月に「2015ゆのまえ漫画フェスタ」の一環で久米田先生を含む複数の漫画によるトークショーとサイン会が行われ(当時の参加記事)、2017年8月~10月にはこの美術館で「久米田康治のかくしごと展」が行われたので(当時の訪問記事)、訪問したことのあるファンも多いかと思います。今でも美術館の中には「2015ゆのまえ漫画フェスタ」の時に描かれたイラストが展示されているので、そういう意味でも久米田作品全体の「聖地」と言えるでしょう。中目黒周辺
「都立第一商高」交差点
でも描かれています。
蔦屋書店
代官山駅
目黒銀座商店街
鎌倉周辺
江ノ電300形
七里ヶ浜駅
七里ヶ浜駅の裏手の階段
メジャーな観光地駅の裏手 階段を100段上がった所にありました
とあります。実際、七里ヶ浜駅の裏手は急な崖になっており、徒歩でしか上がれない階段がいくつか存在します。の冒頭にも出てきますね。
その他の場所
東京女子医科大学病院
観音埼灯台
はアイコン画像のみが時々変わりますが、2019年10月17日にはわずか1時間ほどの間だけこの灯台の写真になっていたこともあります。実際に行かれていたのですね。
神奈川県立近代美術館 葉山
下灘駅
湯前まんが美術館
計12か所の「聖地」を紹介しましたが、他にも実在の場所をモデルにした場所は数多く存在するものと思われますし、アニメでも登場することが期待されます。シャフト制作の『さよなら絶望先生』や『かってに改蔵(OVA)』とは大きく異なる仕上がりになると思いますが、ここで紹介した舞台がどのように描かれるかも含めて4月2日の放送開始を楽しみに待ちたいところです。
- [1]第7巻 p.3 では珍しく1000形らしき車両が走っています。