北京=平井良和 北京=福田直之、上海=宮嶋加菜子 楢崎貴司、田幸香純
新型コロナウイルスへの対策を急ぐ中国政府が、湖北省を除く地域で感染者の増加ペースが鈍化したとして、新型肺炎との闘いが新たな局面に入りつつあると強調し始めた。中央は経済活動の再開を促すが、地方は尻込みして思うように進まない。そんななか、日本政府が中国各地の在留邦人に帰国を検討するよう呼びかけた。各政府の判断が交錯する情勢に、当惑も広がっている。
「ウイルスとの闘いは、明確に第2段階に入った」
11日夜、中国国営中央テレビのニュース番組の冒頭で、男性アナウンサーはそう宣言し、「これからは身を守りながら仕事もする段階だ」「次なる闘いをしっかりと勝ち抜こう」と視聴者に呼びかけた。
国営メディアがそう強調するのは、統計上、湖北省以外の感染者の増加幅が2月4日の890人をピークに減り続けているからだ。
国家衛生健康委員会の12日の発表でも、中国本土の感染者数は前日から2015人増えて4万4653人になったが、増加分のうち湖北省が1638人を占め、その他の地域は377人にとどまる。
武漢を中心に湖北省全域で敷いた厳しい移動規制が一定の効果を見せている可能性もあり、同委幹部は11日の会見で「私たちが早い段階で対策を打ったことの有効性が証明された」と胸を張った。
湖北省以外でも広東、河南、浙江の各省で感染者の累計が1千人を超えているが、地元メディアなどは、いずれも武漢が封鎖される前に行き来した人が多かったためと指摘している。
とはいえ、新型ウイルスは感染…
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