米軍さえ太刀打ちできない「中国の極超音速兵器」その恐るべき実力

探知も追尾も、迎撃も難しい…
峯村 健司 プロフィール

中国が描く「覇権へのシナリオ」

これは、冷戦期の「核によるかりそめの平和」、つまり核抑止力の理屈と似ているように見える。しかし現在の米中新冷戦における大量破壊兵器の意味は、米ソ冷戦時代とは大きく異なっている。米中新冷戦では「透明性」が失われているからだ。

米ソの核抑止力は、互いにどこにどれだけの核を保有しているのかを把握していた。人工衛星で宇宙から監視し、調査団を定期的に派遣し合って、詳しい情報を明らかにすることで成り立っていた。ところが現在では、中国がどれだけの核を抱えているのか、誰も知らない。

この不均衡状態は、中国の「戦略」の一環である。つまり、大国(米国)と大国(ソ連)が戦力を均衡させることで危機を避けるのではなく、強大な国(米国)に対して、弱い国(中国)が手札を隠し、常に相手を脅かすことで、緊張状態を維持するという戦略である。

 

この戦略を理解するには、21世紀を通じて中国が「覇権国家」になるために描いている、遠大なシナリオを理解しなければならない。

中国は米中の覇権国家争いを、3つのフェーズで考えている。すなわち、

(1)米国が強く、中国が弱い。つまり、2010年代までの関係。

(2)まだ米国が強いが、中国が追い抜こうとしている。米国は中国の増長を抑えようと様々な手を打ってくるため、対抗しなければならない。これは、2020年から20年間くらいのフェーズとなる。

(3)中国が米国を抑え、覇権国家となる。

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