このコーナーでは研究者になるつもりなんてなかった私が,「研究者になろう,なりたい!」と思ってから学会や,学振特別研究員の公募,面接,採用のための書類作りなどのためにやってきたことを書いていこうと思います.
私が博士号を取ろうと決めたのは学部4年の最後の時でした.実際に研究者になるということがどれだけ大変かも知らず,ただ卒論研究をまとめていて
「これ(研究)で飯が食えたら楽しいだろうなぁ」
という単純な動機からでした.
通常,大学院に入って5年からプラス数年をかけて博士号を取って,その後何年か任期付き(たいてい2年から長くて5年間)の研究員になります.
学振特別研究員になるためには,現在のところ国際誌に論文が3~4本くらい掲載されていないと採用されない状況です.他の研究機関に研究員として採用されるためにも論文を数本は出していないといけません.つまり,博士課程を終えて,すぐに「これだけの研究をしてきた」という証明書となる論文がなくては,「無職」になってしまうのです.
無事,任期付き研究員になれても数年後にはまた公募に出し採用されなくてはその時点でまた無職に戻ってしまいます.職を得ながら継続的に研究をすすめ,論文を公表していく,ということが現在の若手の研究者には求められています.
2008年現在,研究者になるための道は楽なものではありません.大学院に進んで博士号まで取った人が任期なしの専門職(大学教員・研究所の研究員など)につける割合は約50%だそうです.
現在,私は幸いなことに任期のない研究職に就くことができました.そして,これから研究者になりたい学生を育てていかなくてはなりません.しかし,「君は博士課程に進みなさい」と学生に進めることには躊躇を覚えています.正直に言うと彼らの将来を保証できないし,中途半端な覚悟で博士課程に進んでも不幸な結果が待っているとしか感じられないからです.「来たければおいで.できる限りサポートするよ」というのが今の私に言える最大限の言葉かもしれません.
私はこのような状況をここで問題視しして糾弾するつもりはありません.ここでは私が経験してきたことを通して,
「研究者になるのって超大変!
だけれど,目指すこと,研究をすること,研究者になること,
っていうのは超楽しいよ!」
ということを伝えたいからこのコーナーを作成しました.
ここに書いていることは,あくまでも一化石研究者の一つの事例です.私と同じようにやれは良いとは思わないし,もっともっと良いやり方もあるかと思います.こんなやり方もあるんだ,という一例だと思って読んでいただければ良いと思います.
「私はこんなこともしたよ!」ということがありましたらぜひ教えてください.
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いかにして自分をアピールするか?
学会などで私がやってきたことを述べています.目立つことが目的ではなく,どうやって「自分という存在を覚えてもらうか?」が採用に大切なのではないかと思い行動しました.
学振研究員になる 公募書類の書き方(作成中)
研究者になるための最初の登竜門と言えるかもしれない学振特別研究員になるために必要な知識を集めていきます.
研究発表の心得 何を聴かせるか
学会で多くの人にわかりやすい発表をするということは就職のための近道の一つだと考えています.
博士号を取って研究者にならないという道
博士号を取っても研究者にならないで,他の道に進んだって良いんだよ.ニューイヤースクールではこういった別の道も紹介しています.
Link
研究者人材データベース(JREC-IN) 研究職を探すための求人サイト
参考になりそうな本
科学者ってなんだ? (編)梶 雅範 (著)進藤典男ほか 丸善株式会社
理系白書 この国を静かに支える人たち 毎日新聞化学環境学部 講談社文庫
理系白書2 「理系」という生き方 毎日新聞化学環境学部 講談社文庫
高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (著)水月昭道 光文社新書
理系のための口頭発表術 聴衆を魅了する20の原則 (著)ロバート・R・H・アンホルト 講談社ブルーバックス