こんにちは、TAKAです。
今回紹介する本は一戸富士雄、榎森進著「これならわかる東北の歴史Q&A」です。
ワントピックにつき2~4ページ、図付きで解説しているため非常に読みやすい本でした。
構成は20章あります。
一回で紹介するには分量が多いので今回は5章まで感想記事にしていきたと思います。
書籍情報
書籍名:これならわかる東北の歴史Q&A
ページ数:148
初版発行:2008年6月15日
著者:一戸富士雄、榎森進
発行:株式会社大月書店
構成
1、北方に花開いた縄文文化
2、古代蝦夷の時代
3、躍動する北の中世
4、奥羽の激動の時代
5、統一政権と奥羽
6、北奥のアイヌ民族
7、奥羽諸藩と北方世界
8、奥羽地方の産業・商業
9、民衆の生活・風俗
10、奥羽地方の学問と文化
11、民衆と明治維新
12、自由民権運動
13、日清・日露の対外戦争
14、大正デモクラシーの展開
15、昭和恐慌と大凶作
16、戦時体制下の農民兵と民衆
17、アジア・太平洋戦争
18、敗戦、そして戦後改革
19、高度経済成長とその挫折
20、東北の豊かな民衆文化
1、北方に花開いた縄文文化
東北にある縄文時代の遺跡で有名なものと言えば「三内丸山遺跡」です。
三内丸山遺跡が与えた衝撃は縄文人が採集中心の生活ではなく、食用に適した植物を栽培し、集落を持って暮らしていたという事実でした。
私が教育を受けた頃には三内丸山遺跡の発掘が進み、認識が新しくなったあとだったのでインパクトは小さかったですが、ニュースや特集番組が頻繁に流れていたので、世間に与えた衝撃は大きかったのだと思います。
また面白いと思った点として縄文文化の後に稲作が本格的に北東北に広まるも一度衰退しているという内容がありました。これは気候が寒冷化し、一時的に稲作が難しくなったことが考えられるそうです。
2、古代蝦夷の時代
東北にある「~べつ」「~ぺつ」という地名はアイヌ語に由来するそうです。またこの本ではないですが、「津軽」や「糠部」もアイヌ語に由来する地名で現代まで残っているものが多いと感じることがあります。
本の中でも述べられていますが、「蝦夷」の指す領域は時代と共に変遷しています。
旧来は関東も蝦夷と呼ばれていました。つまり蝦夷という言葉は稲作をしなかった人を指すというよりは大和朝廷に組しない勢力を指していると認識した方がしっくりくると私は思っています。
3、躍動する北の中世
東北の歴史を調べていると言葉として「奥六郡」を良く目にします。
本の中では北上川流域沿いに胆沢・江刺・和賀・稗貫・斯波の五郡を古代国家が9世紀ごろまでに設置し、10世紀に入ると岩手を加えて「奥六郡」という概念が誕生しました。「奥六郡」が具体的にどこを指すのか詳しく調べたことは無かったので勉強になりました。
この「奥六郡」を巡り阿部、清原、藤原と覇権が推移し平安時代になると畿内と並ぶ都、「平泉」を成すに至ります。平泉の文化は都から輸入されたものであるとの認識が従来はありましたが、近年の調査で奥州独自の文化だったことがわかってきています。
ここら辺はロマンが膨らむところですね!
4、奥羽の激動の時代
時代は飛んで鎌倉末期。
中国で元が滅び、明が建国されるとサハリン付近のアイヌとは朝貢関係を結んでいたそうです。このアイヌを介して北東北の諸将も大いに交易し十三湊の安東氏に代表されるような繁栄に繋がったのかなと考えています。
しかし、安東氏は南北朝時代に南朝側に組したために、中央で北朝側有利が確立した際に攻められる対象となり、十三湊を放棄して蝦夷に渡っていきました。
南北朝時代の歴史は調べるほど、戦国時代や幕末に劣らないほど人材やドラマがあると思っているので、今後深堀したいと思っています。
5、統一政権と奥羽
江戸時代に入ると東北の大きな外様大名は津軽藩、南部藩、秋田藩、仙台藩などがあり、北東北に集中しています。一方、譜代大名は福島県や山形県に多く配置されています。
徳川幕府としても万一の時に備えて外様は北に集め、江戸に通じる南は押さえておきたい魂胆があったのかと思います。
あと面白い話として東北の百姓は銃の使用が認められていたそうです。同時代に関東の百姓は厳しく武器を取り上げられています。この理由としては北部の畑作を荒らす、イノシシや鹿を駆除するため、馬産地に近づくオオカミを追い払うなど業務的な理由のためでした。しかし、藩も無許可制にしていたわけではなく、きちんとした使用証を発行していたそうです。
まとめ
5章までは歴史的な面から古代から近世までの流れを追ってきました。
やはり強く感じたのがアイヌを始めとした東アジアとの交流を通じて、畿内とは異なる文化圏が形成されていたという点です。その色合いは近世に入ると薄まりますが、文化的な影響は色濃く現代まで引き継がれていると感じました。
次回は6~10章、主に文化面から見た東北の歴史推移についての内容の感想を書きたいと思います。
では、次回の記事でお会いしましょう!