清水G1初制覇 全日本選抜 【豊橋】
豊橋競輪(愛知県豊橋市)のG1「第35回全日本選抜」は最終日の11日、第12Rで決勝戦があり、清水裕友(25)=山口・105期・SS=が、先行した松浦悠士マークから終3角ハコ捲りを決めて1着。G17度目の優出で悲願の初タイトルを手にした。5番手捲りの山田英明は3着で、その山田を追って直線伸びた平原康多が2着。4日間の車券売上額は84億1005万円(売り上げ目標85億円)で、昨年の別府大会を1億円余り上回った。
■ヒーロー
清水が7度目のG1ファイナルで、初Vを成し遂げた。グレード制導入の2001年度以降、山口県勢のG1制覇は初。さかのぼってもG1級を制したのは1957年に高松宮杯と全国都道府県対抗を制した西村亀(期前)以来。前回G1の競輪祭を制した松浦とともに、中国黄金時代の到来を告げる優勝だった。
その競輪祭では清水が松浦をけん引。ゴール直前まで先頭を走り、「一瞬(優勝の)夢を見た」が、G直前で松浦に差された。しかしその走りは無駄ではなかった。松浦の「清水君がG1を取るまで、自分が前で走る」というおとこ気を引き出す熱い走りだった。
レースは松浦が打鐘でスパート。終HSで清水まできっちりと出切った。清水は山田のBS5番手捲りに反応。「誰が来たかは分からなかったが、気配を感じた。余裕がなくて、待って2人ともつぶれるよりは前に出ようと思った」。
迫る山田には捲らせなかったが、山田後位から猛然と追い込んできた平原には「やられたと思った」。だが、昨年中川誠一郎と並んでG14度の最多優出を成し遂げた安定感抜群の脚は、平原の猛追を4分の3輪、退けた。前で逃げた松浦がG前落車。「まだ実感が湧かない」というのもあって、笑顔は控えめだったが、「中国地区で続けて取れた」と胸を張った。
「タイトルホルダーとして一戦一戦頑張りたい」。早々に年末のGP切符を手にしたが、“長州の風雲児”に慢心はない。松浦とのゴールデンコンビで、これからの競輪界を席巻する。 (野口雅洋)
◆清水裕友(しみず・ひろと)1994年11月9日生まれの25歳。山口県防府市出身。誠英高卒。2014年7月、山口支部105期でデビュー(武雄(1)(1)(1))。通算成績は429走で154勝、優勝22回。G1タイトルは全日本選抜(20)。通算取得賞金は2億4588万3000円。ホームバンクは防府。166.1センチ、78.6キロ、太もも65.0センチ、A型。
【決勝戦VTR】Sは三谷で、周回隊列は三谷-村上、松浦-清水、平原-佐藤、郡司-和田、山田。赤板で郡司→平原の順で抑えると、5番手に下げた三谷がさらに叩いて打鐘。その外を松浦が豪快にカマして最終主導権を握る。山田は中国勢を追ったが離れて、最終HSは松浦-清水、三谷-村上、山田、平原-佐藤、郡司-和田で通過。BSから山田が捲りを仕掛けると、それに合わせて清水が番手捲りを放って押し切りV。山田の捲りに乗って伸びた平原が2着。ゴール前で佐藤と接触、落車した松浦は携入9着だった。
【戦い終わって】
平原康(2着)三谷君が切ってくるのは予想外の展開だった。脚の感触が良かったし、勝てるチャンスと思ったけど…。これが自分の実力ですね。
山田英(3着)自力でやっている以上は、どこかで仕掛けようと思っていた。負けたけど、表彰台に乗れたことは自信になる。(あっせん停止で)レースが空くから、その間にしっかりと練習したい。
佐藤慎(4着)縦長の展開になったし、遠かった。強い平原君の後ろで勝てなかったことは納得できるし、仕方ないですよ。
郡司浩(5着)外枠だったし、厳しかった。自分から動いたのに8、9番手。あれでは勝負にならない。
和田健(6着)いつも同じことを話しているけど、郡司君の番手で負けたのなら仕方ないし、本望ですよ。車番も悪くよね。
村上博(7着)最終BSでバックを入れたのが響いた。スピードを殺さずに突っ込んで行きたかった。
三谷竜(8着)3番手から仕掛けようと思ったけど、余裕もなかったし、無理でした。今後は優出しただけでなく、勝てる状態に持っていきたい。
松浦悠(携入9着)※救急車で病院搬送