一段風光畫不成
いちだんのふうこう、かけどもならず今ぼくの手元にあるスマホカメラの解像度は800万画素です。ヒトの眼はデジタルカメラより有機的かつ高性能なので一概には比較できませんが、仮にヒトの眼球視野を画素数に換算した場合、とある研究では5億7600万画素に相当するんだとか。そしてヒトは、その精緻な視野角の中から、脳のコントロールによって700万画素プラスマイナス100万画素くらいの見たいポイントに集中してフォーカスしているそうです。スマホで撮影した写真が目の前の現物よりどうしても見劣りするのはそのあたりのメカニズムに理由があるんでしょうね。
閑話休題。小艶という女性が遺した詩に「一段の風光、画けども成らず」という一節があります。そのまま現代語訳すると「見事な風景はとても絵に描けるものじゃない」となりますが、モノの本によると、小艶はこの一節を「自分の気持ちはとても言葉ではあらわせない」という意味で記したとか。
スマホカメラのピクセルには収まりきらない光景や、テキストにも絵文字にもできない心情を味わえるのはヒトの特権。せっかくカメラより高性能な眼とコンピューターより優秀な脳を持って生まれたんですからフル活用しないともったいないですね。
禅のことば – 072 / 365
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