フットボール界随一のSDモンチ、AI&ビッグデータ部門創設で選手補強を改革「1万8千人の中から選手を選び出す」

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Getty Images

フットボール界随一のスポーツディレクターとして名を馳せるセビージャのラモン・ロドリゲス・ベルデホ、通称モンチ氏は、今なお選手の補強メソッドの最先端を行く。同氏はクラブ内にAIとビッグデータを扱う部門を創設して、より確かな選手補強を実現している。スペインのスポーツ紙『マルカ』の日曜版『プリメーラ・プラナ』が、その詳細を伝えた。

安く買って高く売る--この方針で的確な選手補強を行い、セビージャをスペイン屈指の強豪にまで押し上げたモンチ氏は、より的確な補強を実現すべく、従来通りにスカウトを駆使するほか、エンジニア、プログラマー、数学者、統計学者らを中心とする部門をクラブ内に創設した。同氏はアトレティコ・マドリーの本拠地ワンダ・メトロポリターノで開かれたフットボール・データ・インターナショナルというセミナーで、I+Dと名付けられた同部門について次のように説明している。

「私たちは人工知能、マシンラーニング、ビッグデータの部門を創設した。そこでは、様々なプロフィールの人物が働いている。クラブにすでにいた人材のほか、外部からも人材を取り入れた。フットボールと関係がなかった人を含めてね」

チーム選択

「ビッグデータはフットボールの未来だ。それは、私たちがデータから選手を獲得するのではなく、リスクを減らしながら決断を下すことの助力となってくれるものだ」

モンチ氏によれば、このI+D部門を駆使した選手補強の流れは、以下のようになる。

1)セビージャは選手のレベル、クラブの財政に鑑みた獲得可能な選手として1万8000人を検出している。

2)監督とともに補強ポジションを選択。例えば、この冬に獲得したミランから獲得したFWスソのように右サイドの選手であれば、候補選手は1万8000人から1500人まで絞られる。

3)監督と、どういった特徴を有する選手であるべきかを明確にする。それはチームのプレースタイルと監督の求めるもの次第。この時点で候補は500人に絞られる。

4)データがそうした希望に沿った選手の選出を手助けする。モンチ氏は「目的は500人の補強候補を、データの活用によって30人まで絞り込み、そこから決断すること」と語る。

5)モンチ氏やスカウト陣の主観的な目も含めた徹底的な選手分析を行い、市場価値を考慮に入れてから、獲得に動く選手を決定する。

モンチ氏はI+D部門を創設した理由について、「私たちの狙いは、1万8000人もの候補から補強選手を選択することにおいて、ヒューマンエラーを少なくすることにある。主観性を減らして、客観性を上げたいんだ」と説明。また過去にあった失敗も、こうしたメソッドを駆使するきっかけとなったようだ。

「選手のプロフィールについて、監督と席について話し合うときこそが決定的な瞬間だ。私の最大の失敗の一つは、マルセリーノ(・ガルシア・トラル)との関係にあった。彼はセビージャに6カ月しかいられなかったが、それが私の責任であったことを受け入れるよ。私は彼が求めていたことに対応できなかった。その要求を主観的に飲み込んでしまい、そうやって獲得した選手たちはマルセリーノが求めるタイプと一致していなかったんだ。あれは過ちだった」

モンチ氏はその一方で、補強候補を機械的に最後まで絞り込むわけではないことも強調。最終段階では、直にプレーを確かめることが必要という。

「データがフットボールからロマンティシズムを取り上げるわけではない。主要リーグの右サイドバック1500人をその特徴からフィルターにかけて、50人まで減らす行為はロマンティシズムと話が違う。それに、その後にはピッチ上の選手を現場で見なければならない。というのも大体のデータは、ボールを持っているときのプレーに偏っているからね」

「それと人間的側面というのも、大切だ。ときに私たちは選手たちも人間であることを忘れてしまうが、彼らはスイス時計とは違うんだ。選手が常に十の結果を出すわけではないし、それは人間的にどうかというのも関係してくる」

モンチ氏はセビージャの「安く買って高く売る」という補強方針が、株式と類似していることを指摘。「以前は、すべてが直感だったね。私たちは株式のモデルを追ってきた。(負傷や監督からの信頼を得られていないなどで)安いときに購入して、スポーツ面で最大限の成長を果たしたときに売却したいんだ」。加えて、その手助けとなるAIやビッグデータが、今後のフットボール界では必要不可欠なものになることを主張した。

「I+D部門を持たないのは時代遅れだ。決定を下すための大きな助けとなるものだからね。私たちは最先端のものに適応するための心構えを、常にしていなくてはならない。背中を向けたら、取り残されるだけだよ」

セビージャは今季も安く買った選手の市場価値を高めることに成功している。モンチ氏はDFジエゴ・カルロスの獲得について「夏にナントから1500万ユーロで獲得した。確かにリスクがあったが、今となれば安価だよ」と胸を張り、また移籍金2000万ユーロのDFジュール・クンデ、1500万ユーロのFWルーカス・オカンポスも金額以上の活躍を見せている。

モンチ氏は最後に、選手のスカウティングや市場価値といったデータのほか、負傷に関するデータも重要であることを説いている。

「それも金銭的に重要なデータだ。昨季、トップチームの選手たちは15%の試合を負傷で欠場したが、セビージャみたいに予算規模が2億ユーロのクラブであれば、3000万ユーロ程の損失となる。よって15%、10%でも下げられれば、大金について話すことになるんだよ」

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