トップ > 長野 > 2月12日の記事一覧 > 記事

ここから本文

長野

ライチョウ保護へスマホアプリ開発 県議会で予算案審議

写真

 県議会2月定例会は13日に開会し、県の新年度当初予算案が審議される。台風19号による豪雨災害など各地で自然災害が相次ぎ、予算案には関心が高まる環境問題に関連する新規事業も多く盛り込まれた。3月12日までの会期中、さまざまな論戦が交わされる見通しだ。

 県は、絶滅が危ぶまれる国特別天然記念物ライチョウの保護に向けて三百十三万円を予算案に計上した。生息地の北アルプスなどを訪れた登山者らが、目撃したライチョウの写真や発見現場を入力できるスマートフォン向けアプリの開発を進める。集まった情報は県と環境省で共有する。

 県自然保護課によると、現在も事前に募った協力者に目撃情報を寄せてもらっているが、協力者は約四百六十人にとどまり、広範な生息情報の収集に必要な人員は確保できていない。アプリを通じて一般の登山者らから広く情報を収集し、効果的な保護策を探る。

 この事業に使い道を特定した「クラウドファンディング型ふるさと信州寄付金」も使い、資金を集める。寄付金は、ライチョウのひなの体力を奪う降雨やキツネなどの天敵から守る方法に精通した人材育成にも充てる。

◆駐在所ゼロエネ化、グリーンボンド県債も

 県は昨年十二月に出した「気候非常事態宣言」で、二〇五〇年に二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにすると表明。その一環で、県庁を含む県有施設のゼロエネルギー化を進めようとしている。

 第一弾として、中川村にある駒ケ根署大草、片桐の両駐在所を統合して新設する「中川村駐在所」(仮称)と、老朽化に伴い建て替えを予定する上田市の上田署西内駐在所でモデル事業を計画。窓や壁を断熱化して空調にかかる電力の消費を抑え、屋上に設置する太陽光パネルで自前で電力を賄う。

 駐在所の建築費とは別に関連費九百四万円を盛り込み、それぞれ二一年度中の完成を目指す。効果を検証し、他の県有施設にも順次広げる方針。

 環境改善に効果がある県の事業に使い道を限定した「グリーンボンド」と呼ばれる県債も新たに発行する。都道府県で導入するのは東京都に次いで二例目。個人や投資家から資金を調達し、民間の格付け会社から認定を受けた事業の推進に役立てる。二〇年度後半に数十億円規模で発行するという。

 県財政課の担当者は「県だけでなく、金融機関や保険会社などの投資家にとっても環境対策に積極的な姿勢をアピールできる」と利点を強調。債券としての人気が高まれば、金利が低く抑えられる可能性もあるとしている。

 (我那覇圭、安永陽祐)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

PR情報