中日の伊東勤ヘッドコーチ(57)は、野村さんからかけられた言葉を振り返り、涙を流し別れを惜しんだ。
「体調が良くないとは聞いていたが、まさかこういうことになるとは。いろんな言葉で叱咤(しった)激励してくれあり難かった。残念ですね」。そう言うと絶句。大粒の涙を流した。
所沢高校から西武に入団した1年目の1982年。80年に西武で現役生活を終えた野村さんと一緒にプレーはできなかったが、野村さんが西武の自主トレを取材。「キャッチャーは(一人前になるまで)5年かかるぞ」と声をかけてくれ励みにしたという。
その後、92、93年の日本シリーズでは西武の正捕手としてヤクルトと対戦した際には「おまえのリードの傾向はわからなかった」と最大級の賛辞。伊東ヘッドが、西武の監督を辞任した2007年秋には、楽天の監督だった野村さんに辞任のあいさつをすると「君は野球をよく知っている。球界が宝をなくすことになるなあ」と言ってくれたという。
「口が悪いところもあれは、あの人の優しさ。教えてもらったことを引き継ぎたい」とかみしめるように話していた。