カスタマーレビュー

2018年12月18日
『なぜ僕が100万回の殺害予告を受けることになったのか』、この本のサブタイトルだ。
最初に言っておくが、本書を読んでもその理由は明らかにならない。
なぜこの炎上が始まったのか、その記述がすっぱり抜けているからだ。
ある少年の依頼を受けたら自分が標的にされてしまった、との“結果”から本書は始まる。
唐澤氏はきちんと自己を分析し、炎上に至った理由を説明するべきではないだろうか。
なお、唐澤氏の元同僚弁護士はかつて講演会でこのように説明していたことを付記しておく。
「炎上した方の依頼を受けて法律的に処理する中で、インターネットに凄く慣れた人達から、この処理はおかしいのではと指摘され、その結果世の中を騒がせるような事態になってしまった。」

その他気になった点をいくつか列挙する。
①abemaTVに出演した際、台本を一切無視して言いたいことを言ったと誇らしげであるが、
番組スタッフや共演者に掛けた迷惑をまるで省みていない。
非常に自己中心的な性格であるとの印象を受けた。

②「親の知らない自分の世界を新しく構築していくのが巣立ちの第一歩であり、
子どもも親に自分のことを語らなくなるし、親だって根掘り葉掘り子どもに聞かないのが普通ではないでしょうか」
と弟の自殺を食い止められなかった自分の両親を庇う一方で、
「子どもがインターネットでどんな活動をしているのか、親がまったく知り得ない、把握しきれていないというのも大きな問題です」
とネット加害者を悪い家庭だと断罪している。
本書にはこのようなダブルスタンダードが散見される。

③「インターネット上での人権侵害という意味では、在日韓国・朝鮮人の方々や被差別部落の方々なども被害に遭われています。そうした被害を受けている方すべてと一致団結して、法律をつくる方向に持っていけたらいい」
とあるが、そうした方々への差別的な書き込みを率先して行っていたのが、炎上の発端となった依頼者の少年であり、
その書き込み内容こそが全ての元凶であることを唐澤氏はどのように捉えているのか。
「依頼人にとって少しでもプラスになるなら、どんな案件でもお受けしています」とでも言うのだろうか。

本書を通して強く感じるのは「自分は全て正しい」という思考、そして他者への共感性の欠如である。
なぜ自分の周囲に人が集まらず、孤軍奮闘状態なのか、もう一度考えてほしい。

追記:私は本書をきちんと購入し、全頁を読んだ上でこの批評を書いている。
この批評すら誹謗中傷だというのなら、唐澤氏が目指すのは自分への賛同以外を許さないディストピアであると言わざるを得ない。
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