野村克也さんのヤクルト監督時代にエースとして活躍した楽天の石井一久GM(46)はこの日、都内で取材に応じ「野球の原点を教わった人。ショックです」としのんだ。
今朝、球団からの連絡で知ったといい「最近元気なかったですが、まさかとは思った。でも奥様(沙知代さん、2017年死去)のところに行けてよかったのかな。(自分は)恩返しはできたのかな?と色々な気持ちがぐるぐる回りました」と話した。
一番の思い出は入団して数年たった20歳の頃。大型左腕として期待を背負いながら打たれて降板した際、監督室で2人きりになり「お前、俺をなめてんのか!」とイスを蹴飛ばされたという。「普段は動きも遅くて穏やかに話す人なのに、あの時だけは動きも速くて、見たことない形相で聞いたこともない言葉遣いだった」と回想。監督に全力で蹴られたイスも5mくらい飛んで行った。「ああ、こういう動きもできるんだと思った。温厚なのに野球には熱い方だった。僕も野球に対する考え方が変わった。あのイスの飛距離とともに一生忘れません」と懐かしんだ。
最後に会ったのは2018年に楽天のGMになる前。解説で訪れた球場で「お前もどこかでユニホーム着ないといけないんだぞ。野球界に恩返ししないとな」と声をかけられた。今季は野村さんの息子・克則も楽天で1軍作戦コーチに。「僕と克則は同い年で、僕も父親のように気にかけてもらった。今年は克則と一緒に戦う大事なシーズン。勝っても負けても何か言われるだろうけど(天国から)見ていてほしいと思う」と全力で戦うことを誓っていた。