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【社会】検事の定年延長「違法」? 高検検事長の人事 検察からも疑義
東京高検の黒川弘務検事長(63)の定年延長を決めた閣議決定への疑念が広がっている。検察庁法で定められている検察官の定年を延ばす措置は前代未聞。国家公務員法に基づくとするが、過去の政府答弁では検察官に同法の定年制は「適用されない」としていた。法務・検察当局の内部からも「法に触れるのでは」との声が漏れ始めている。 (山田雄之、山下葉月) 【関連記事】政権に近い検事長の"異例"の定年延長 その背景は
「検察をコントロールしようと、政府は重大な法令違反を犯した」 東京都内の男性(72)は十日に記者会見を開き、違法な定年延長で検察の業務を妨害したとして、安倍晋三首相を偽計業務妨害の疑いで刑事告発した理由を説明した。 政府が閣議で、本来二月七日で定年だった黒川氏の勤務を、国家公務員法に基づき八月七日まで半年間延長すると決めたのは先月三十一日。検察庁法は検察官の定年を六十三歳、検事総長のみ六十五歳と定めている。稲田伸夫検事総長(63)が八月、慣例に従って約二年の任期で退任すれば、黒川氏が後任に就けるようになった。七月にはもう一人の有力候補、名古屋高検の林真琴検事長(62)が定年を迎える。 黒川氏は法務省の官房長や次官を長く務め、安倍政権との関係の近さが指摘されている。告発した男性の会見に同席した弁護士は、「首相官邸はいずれ黒川氏を総長に据え、捜査権力まで操ろうとしているのではないか」と危ぶんだ。 十日の衆院予算委員会では立憲民主党の山尾志桜里氏が、国家公務員法に定年制を導入した一九八一年の国会審議を引き合いに「違法な措置だ」と追及した。 当時の人事院幹部が「検察官と大学教官は、(検察庁法などで)既に定年が定められている。(国家公務員法の)定年制は適用されない」と答弁しており、「今回も適用できないはずだ」と指摘。森雅子法相は「その答弁は把握していない」とし、「定年延長は、一般法の国家公務員法が適用される」と従来通りの説明を繰り返した。 神戸学院大の中野雅至教授(行政学)は「長い歴史の中で、なぜ今回だけ勤務延長したのかの説明が不十分だ。政治的介入があったと思われても仕方ない」と政府の対応を批判する。 法務・検察内部からも「まさか国家公務員法を使うとは」「こんなことが、まかり通るのか」と疑問視する声が相次ぐ。ある幹部は「無理やりの解釈だ。法に触れるのではないか」と踏み込んだ。 元検事の郷原信郎弁護士は、検察庁法が「検察官の職務と責任の特殊性」に基づき、国家公務員法から離れて定年を定めていることに着目。「検察官個人に訴追など強大な権限が与えられている。だからこそ検察庁法は権限を行使できる期間を厳正に定めている。今回の定年延長には違法の疑いがある」と指摘した。 PR情報
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