突然ですが、
「豊かな香りと、深い味わい。」
と聞いて思い浮かべるのは、どのコンビニのコーヒーですか?
続いて、
「バランス極めたコクと旨み。」
これは?
日常生活のなかで、朝から晩まで様々な場面で飲まれているコンビニのコーヒーは、1杯わずか100円とは思えないクオリティに進化してきました。
一方、毎日飲んでいる人でも、各コンビニのコーヒーにはどんな特徴があるのか、考えたことはあまりないかもしれません。
そこで今回は、あえて「コーヒーのプロ」ではなく、味の感覚と表現に卓越したプロである一流のソムリエにテイスティングしてもらい、コーヒーの知識は抜きにして誰にも分かりやすいように「味と香り」の特徴を教えてもらいました。
今まで深く意識せずに飲んでいたあなたも、コンビニに限らず、自身の好みのコーヒーについて考えてみてはいかがでしょうか。
用意したコーヒー
セブン-イレブン(以下、セブン)は「白の定番」「青の贅沢」と銘打って10円差で2種類。ローソンは定番の1種類。ファミリーマート(以下、ファミマ)は定番と、それに20円の差を付けた「エチオピア産の最高等級豆をベースにした」というモカブレンド。
今回は以下のように表記します。
セブン・ホットコーヒー→セブン白
セブン・高級キリマンジャロブレンド→セブン青
ローソン・コーヒー→ローソン
ファミマ・ブレンド→ファミマ白
ファミマ・モカブレンド→ファミマ緑
ちなみに冒頭の「豊かな香りと、深い味わい。」はセブン白、「バランス極めたコクと旨み。」はローソンの謳い文句でした。
テイスティングをお願いしたソムリエ
薮崎友宏氏
南青山Essenceオーナーシェフ
J.S.A認定ソムリエ・エクセレンス/ワインエキスパート
ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」講師
J.S.A認定SAKE DIPLOMA
S.S.I認定日本酒唎酒師
S.S.I認定焼酎唎酒師
コマンドリー・ド・ボルドー(ボルドーワインの騎士)
TV出演も多数
いざ、テイスティングスタート
――本日はよろしくお願いします。コンビニコーヒーは普段飲まれますか
結構飲みますよ。どのコンビニの味がどうとかは気にしたこともなかったですね。
では、さっそく比較しながら試していきます。
(一通り香りだけ確認)
――違いは結構はっきりしていますか
比べると分かりますね。
焙煎の香りが一番立っているのがセブン白です。深くスモーキーな香りです。
ローソンは一番香りが淡い。香りの中にちょっと酸味が感じられます。
ファミマ白は香りがあるんですけど、セブンに比べると穏やかな感じ。
セブン青も香りが強いんですけど、白とはちょっと違いますね。もっと深い、複雑な香りで。悪く言えば正露丸みたいな。
ファミマの緑は、セブン青の後だからかもしれませんが、そんなに焙煎香っていう感じはありません。それでも深い香りです。
――セブン同士、ファミマ同士ではそれぞれいかがですか
香りでいえばセブンは白より青、ファミマなら白より緑という気がします。
セブン青、ファミマ緑の方が複雑で深い、ボリュームのある香りですね。
――ファミマ緑は白より20円、セブン青は白より10円高いです
そうなんですか。では香りはやっぱり高い方がいいのかなという気がしますね。
――それでは味の方をお願いします
(まずセブン白、ローソン、ファミマ白を一通り味わって)
コクが一番あるのはセブン白。苦味もテイストの複雑さも一番あります。
香りに酸味があったローソンは、味わいにも酸味を感じますね。
この中ではライトな感じがします。これはこれで好きな人がいるかもしれない。
ファミマは、一番ニュートラルですね。
コクは強い方から、セブン、ファミマ、ローソン、酸味はローソン、セブン、ファミマの順です。
――味わいはそれぞれ香りから想像したものに近いですか
近いですね。全部近いです。
香りの通り、苦味はやっぱりセブンが一番強くて、酸味が立っている分ローソンが一番少ないですね。
ファミマは、苦味がなくはないですけど、セブンと比べると穏やか。酸味と苦味のバランスが上手くいっています。
――寝覚めや、眠いときによさそうなのは
僕はこういうのが好きなのでセブン。
でも「アメリカン」が好きで、苦いのや強すぎるのが苦手みたいな人はローソンもいいかもしれない。
ファミマはやっぱりニュートラルでどちらにもよさそうですね。