メイビー・ネクスト・クリスマス
12月25日、クリスマス。
それは、チキンとケーキを
何の罪悪感もなく食べてしまえる一日。
ケンタッキーフライドチキンに長蛇の列ができ
コンビニでは店員がチキンを揚げることに追われ、
恋人たちは手をつなぎながら、イルミネーションを
横目に「君がいるから僕がいるのさ」
「エグザクトリーね。そうに違いないわ。」
なんて甘い会話を交わす一日。
クリスマスは、メリーで、ハッピーで、
たくさんの人の心を豊かにする。
というのが一般的だと思う。
でも僕はクリスマスがきらいだ。
8つの時のことだ。クリスマス前夜、
サンタがプレゼントをおもちゃ工場から
届けてくれると信じて疑わなかった僕は、
当時韓国で流行っていたおもちゃを母にねだった。
欲しいものを母に言えば
サンタさんに届くはずだったからだ。
「日本では買えないから、サンタさんも急で、
無理かもしれないね」となだめる母。
それでも諦めることができず
延々とねだり続けた。
無論、直前にそんなお願いをされて
飛行機に乗って買いにいくわけにもいかない。
ひたすらぶつぶつ文句を言い続ける息子に、
途方に暮れ、やがて
とうとう堪忍袋の尾が切れた母は
商業的クリスマスのからくりを
打ち明ける決意をしたのだ。
サンタは いない
残酷な真実を知ったチョン少年。
信じていたものが初めて崩れ落ちた瞬間であった。
明くる日の朝、
先生から何をもらったのかみんなの前で
発表させられることになった僕は
この不条理な真実を自分一人が知っていいはずない
というありがた迷惑な精神で
前夜に知ったおぞましい出来事をクラス中に
ぶちまけた。
しばらくの静寂。
雰囲気がおかしい。
先生が見るからに動揺している。
「あなたが悪い子だから、サンタが
来なかったのよ。サンタはいます」という
先生からの言葉のアイアンクロー。
ナイスダメージ!
そして畳み掛けるように
その場の全員から嘘つきという罵声があがった。
うそじゃねーよ。おれはうそつきじゃない。
以来、クリスマスはなんとも苦いものとなった。
それから大人になって
夜遊びはたくさんしたけれど、
根が地味なためか大きく羽目を外すことも、
「特別な誰か」と過ごすこともなく、
クリスマスはいまだ苦さを保っている。
今ふと思い出したことがある
18、19の大学生の頃
ごく親しい友人たちと
クリスマスパーティをしたことがあった。
友達の家を貸してもらい
みんなでご馳走を持ち寄ってお祝いをした。
気分が乗ってしまった僕は
へんてこなダンスなんて踊っちゃって
普段は絶対に踊らない恥ずかしがり屋の
友人も横で踊り始めるものだから、歓声があがり
みんな笑って、ああでもない
こうでもない話をしながら
身体がどんどん軽くなるのを感じた。
いつもは憂鬱な夜の質量が
その日ばかりは心地よかった。
その後に待ち受ける就活就職地獄のことなど
梅雨知らず。
時間も未来も、永遠はないけど、
この瞬間はずっと忘れないだろうなあと思うほどに
穏やかで幸せな夜だった。
そんなクリスマスが
もしかしたら、また来るかもしれない。
今度はもっと大事にできるかもしれない。
多分、きっと。
…いや〜でもそう上手くいくかねぇ
淡い期待を頭から消そうとしながら
来年のクリスマスに想いを馳せてみるのである。
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