気持ちそがれた羽生=理想の「SEIMEI」持ち越し―四大陸フィギュア
「SEIMEI」の再演へ高めた気持ちが、少しそがれた。
リンクに入った羽生は氷に「コンクリートが見える」ほどの大きな穴を見つけ、レフェリーに伝えた。「気が散った状態で入ってしまった」。ジャンプに大小のミスが四つ。頂点には立ったが、演技に入り込めていなかった。
心がざわついたまま4回転ルッツへ。腰を沈めて踏ん張りながらも着氷は乱れた。練習でも確率は低かった。「これだけ(気持ちを)崩されるような状況でもルッツはあそこまでいけるんだ」と努めて前向きにとらえたが、悔しさは残った。
4回転トーループも2度乱れた。軸がやや傾いた一つ目は何とか着氷し、つなぎのオイラーを挟んだ3連続へ瞬時に変えて乗り切った。続く二つ目を2連続に切り替えたものの転倒。得点が1.1倍になる後半の稼ぎどころでミスが続いた。
曲を平昌五輪時のものに戻して臨んだ今大会。ショパンのバラード第1番のSPは自分でも心地よさを感じた。フリーで理想とする「SEIMEI」は持ち越し。「ゴールは明確。クワッドアクセル(4回転半)を入れて、ぎりぎりの難易度まで目指し、今回のバラード第1番みたいなシームレスな(滑らかな)ものを作りたい」と力強く言い切った。